頭外音像定位のためのプローブマイクロホンを用いたバイノーラル録音・再生系補正法

概要

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従来のバイノーラル録音・再生において外耳道入り口から鼓膜までの特性が含まれていない.人は鼓膜の振動により音を聴いているため,鼓膜位置までの音圧補正が頭外音像定位の実現には必要であると考えられる.したがって本実験では,特に頭外定位感が得られない正面方向に着目し,一方の耳は頭外定位条件で,他方の耳は頭内定位条件で,両耳における鼓膜位置の音圧を試作した2個のプローブマイクロホンを用いて測定し,一回のデジタル処理による補正で頭外定位の実現性を検討した.そのために,イヤホンで受聴する音と前方に設置したスピーカからの音との伝達関数特性を鼓膜位置で一致させ,イヤホン受聴時においても前方に音像が定位するかどうかを7人の被験者(20代大学生)に対し2種類のイヤホンを用いて測定した.この結果,片方ずつの受聴ではスピーカからの音と融合し,正面方向への音像定位が感じられた.しかし,イヤホン受聴だけではスピーカ受聴との完全な音像定位感の一致は得られない事実も判明した.この事実から,頭外定位したときと同じ鼓膜位置の音圧になるようにイヤホン系を補正しても得られた頭外定位感は,実際のスピーカシステムとは完全には一致しないことが示唆された.
2012-10-20

頭外音像定位のためのプローブマイクロホンを用いたバイノーラル録音・再生系補正法

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