2パルス刺激間の諸感覚系における弁別閾の推定モデル

概要

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人間の視覚,聴覚および触覚において二つの刺激パルス(10ms)間の遅延時間(⊿t)を0msから徐々に増加させると,人の感覚には二つの刺激が一つに感じる融合閾値(⊿t<10ms)から二つの刺激が明確に弁別可能(⊿t>>30ms)になる範囲が存在する.この範囲をOrder Threshold (OT)と定義する.測定では「完全に一つ」,「どちらかというと一つ」,「どちらとも言えない」,「どちらかというと二つ」,「完全に二つ」という5段階の心理尺度を用いた.本論文では,まずOT[ms]からロジスティック関数と心理尺度値を用いた回帰直線で諸感覚系の時間的な感覚特性に関する弁別閾を推定することについて検討した.この結果,ロジスティック関数だけでなく,心理尺度値を用いた回帰直線でも個々の弁別閾が推定できることが示唆された.次に,回帰直線より求めたOT[ms]の信頼性を確認するために検証実験を行い,被験者の個々のOT[ms]の測定値と推定値とを比較し,その誤差について検討した.その結果,視覚,聴覚および触覚において測定値と推定値の相関係数は0.91以上となり,データ数が少数でも回帰直線を用いることで弁別閾が推定できることが示唆された.
2008-10-16