実耳装着型2マイクロホンを用いたサラウンド評価システムの構築

概要

論文の詳細を見る
本報告では,サラウンド評価システム構築の先駆けとして,実耳装着型2マイクロホンの試作を行い,これを用いた音響計測を行った.この2マイクロホンの特徴は,ヒトの外耳道に挿入できるように音響管(直径6mm,内径4mm,長さ14mm)を利用し,その音響管に3mm径の2つのマイクロホンを壁に埋め込み9mm間隔でside-by-side配置し,外耳道入口側Mic.2および鼓膜側Mic.1のマイクロホンを同時計測することで外耳道伝達関数を求められることである.本音響計測の目的は,各個人で形状の異なる頭部や耳介などの影響を明らかにすることである.実験は,鼓膜位置での伝達関数が明確な自作ダミーヘッドを利用して,実耳装着型2マイクロホン法で外耳道伝達関数を導き,それから得られた推定鼓膜位置音圧と実測鼓膜位置音圧を比較した.結果から,実測鼓膜位置での共振周波数は,1,645Hz(62.1dB),8,237Hz(47.8dB)および反共振周波数は7,180Hz(29.5dB)であるのに対し,推定鼓膜位置での共振周波数は,1,614Hz(57.8dB),4,748Hz(52.3dB),8,332Hz(43.2dB)および反共振周波数は3,547Hz(28.2dB),7,585Hz(35.0dB)であることがわかる.本実耳装着型2マイクロホンは,4,748Hzのピークと3547Hzのディップでずれが生じた以外,良く推定できていると言える.
2009-10-15