グリセリンと蔗糖を用いたマウス胚の急速凍結法に関する研究

概要

論文の詳細を見る
本実験は,マウス桑実胚ならびに初期胚盤胞を三種の方法により急速凍結し,融解後の生存率を比較,検討した。三種の方法は,WILLIAMS AND JOHNSON (1985:A法),SZELL AND SHELTON(1986a,b:B法)およびTAKAHASHI AND KANAGAWA (1985:C法)である。過剰排卵処置後,交配された雌マウス子宮から回収された形態的に正常な桑実胚および初期胚盤胞を三種の方法で凍結した。融解後1〜2日間体外培養し,胚盤胞拡張期への発育を記録し,生存率とした。A,B,およびC法により凍結された胚の融解,培養後の生存率はそれぞれ12%(14/114),13%(14/103)および65%(58/89)であった。A法とB法の生存率においては有意差は認められなかったが,C法は他の二法に比べて,有意に(P<0,05)高い生存率を示した。また,胚の発育段階(桑実胚と初期胚盤胞)別の平均生存率は,それぞれ29%,27%で,両者の間に有意義は認められなかった。以上の結果から,三種の急速凍結法のうち,TAKAHASHI AND KANAGAWA(1985)の方法(C法)が最高の生存率を示した。
帯広畜産大学の論文
1987-11-30