ウシ卵胞内卵子の体外成熟におよぼす合成培養液と栄養源の影響

概要

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ウシの卵胞内卵子(卵母細胞)を直径5mm以下の卵胞から取り出し,体外成熟に影響する要因として3種類の合成培養液(TCM199,Ham-F-10,BMOC-3)と添加栄養素について検討した。添加剤としては各々の培養液に15%牛胎児血清(FCS)または4mg/ml牛血清アルブミン(BSA)を,さらに0.25mMピルビン酸ナトリウム(Na-P),25mM乳酸ナトリウム(Na-L),この両者,または無添加で培養後(27-30h)の成熟(第二成熟分裂の中期)した卵子の割合を比較し,次のような成績を得た。1)成熟卵子の割合について,使用した培養液間(P<0.001)およびFCSとBSA間(P<0.001)に高い有意差が認められた。使用した3種の培養液の内BMOC-3液が最も良好であるように思われた。2)培養液とFCSまたはBSA間に高い相互作用(P<0.001)が認められた。すなわち,Ham-F-10またはBMOC-3液を使用した場合はFCSを液加した方が有意に高い成熟率を示したが,TCM199を使用した場合はFCSとBSA間に有意差は認められなかった。3)Na-P,Na-L,Na-P+Na-Lまたは無添加区において卵子の成熟率に有意差は見られなかったが,Na-Pを添加した場合は無添加区よりも良好であるように思われた。4)BMOC-3液にFCSとNa-Pを添加した場合に最高の卵子成熟率(78,6%)が得られた。
帯広畜産大学の論文
1981-11-15