ウシの嚢腫卵胞と正常様卵胞における卵胞液中のプラスミノーゲンおよびその他化学成分について

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ウシの嚢腫卵胞と正常様卵胞における卵胞液中のプラスミノーゲンおよびその他卵胞液成分を検討するために2つの実験を行なった。と畜場より採取したウシ卵巣を卵胞期と黄体期に区別し,さらに各期において卵胞の大きさから3群(A:5〜10mm,B:11〜15mm,C:16〜20mm)に分けた。黄体が存在しない卵巣中で,直径20mm以上の卵胞を嚢腫卵胞(D)とした(実験1)。卵胞液中のプラスミノーゲン値は,Dにおいて最高(95.3±29.3)で卵胞期の卵胞よりも有意に(P<0.05)高値であった。卵胞期におけるCはAよりも有意に(P<0.05)高かったが,黄体期の卵胞間には有意差は認められなかった。また,卵胞期と黄体期の間にも有意差(P<0.01)が認められた。実験2では,嚢腫卵胞液中のプラスミノーゲン,ステロイドホルモン(エストラジオールー17β:E_2,プロジェステロン:P),総蛋白質量(TP),Na,K,Glu,iP,Caを測定した。また,嚢腫卵胞より採取された卵胞内卵子の成熟分裂の段階についても記録した。その結果,卵胞内卵子の約70%は変性および卵核胞期のものであった。プラスミノーゲン値は実験1と同様に高かった。E_2は高く(201.6±318.6pg/ml),Pは低い(55.3±50.0ng/ml)傾向にあった。また,KとGluは正常様卵胞(直径10〜20mm)と比べて有意に(P<0.05)高い値を示した(Kmg/dl:23.1±1.5,19.0±1.6,Glumg/dl:69.6±9.0,54.3±8.9)が,他の成分については有意な差は認められなかった。以上の結果から,嚢腫卵胞および黄体期の卵胞液はプラスミノーゲン値が高く,プラスミン活性が起こらないため排卵が抑制されている要因の一つと考えられた。また,その他化学成分も排卵遅延や卵胞嚢腫の発生に関連するものと思われた。
帯広畜産大学の論文
1983-11-30

ウシの嚢腫卵胞と正常様卵胞における卵胞液中のプラスミノーゲンおよびその他化学成分について

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