非繁殖季節におけるめん羊の発情および排卵誘起と受胎性について

概要

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めん羊の非繁殖季節(5月〜7月)において,コリデール種,サフォーク種そして両種の雑種,計20頭の雌羊を用いて発情,排卵誘起を試みた。方法は,全頭に合成黄体ホルモン(6-Methyl-17-Acetoxyprogesterone:MAP)60mgを含む腔内スポンジを9日間膣深部に挿入した。膣内スポンジ除去後10頭づつの2群に別け,750i.u.PMSG(A群)または15mgPGF_2α(B群)を各々筋肉内注射した。その後,マーキング・ハーネスを付着した正常雄羊を雌羊群に5日間同居させた。朝・夕(8時と5時)に発情観察を行なった。排卵は処置後8日目に各群の4頭を開腹し,確認した。受胎率として,Non-Return(N.R.16-21日).超音波ドップラー法による姓娠診断(50〜70日)および分娩率を記録した。また,黄体ホルモン処置前17日から処置後20日までの期間,1〜3日毎に各群4頭において頸静脈から採血し,血漿中のエストラジオールー17β(E_2)とプロゲステロン(P)濃度をRIA法により測定した。A群では10頭中全頭,B群では10頭中4頭が処置後5日以内に発情が出現した。排卵はA群の4頭すべてに観察された(排卵数/雌羊頭数:2.75)。一方,B群では排卵は認められず,1〜3mmの卵胞が多数存在していた。両群において,N.R率,妊娠率,分娩率および出生子羊数/分娩母羊数は以下のとおりである。A群:80%(8/10),40%(4/10),30%(3/10)そして7/4(2.33:3頭の死亡羊を含む),B群:75%(3/4),25%(1/4),25%(1/4)そして1/1(1.00)。発情を示したA群の4頭において,血漿中のE_2レベルは発情前日に高いピーク(7.7〜12.9Pg/ml)が見られ,排卵後はPが上昇し処置後20日目のPレベルから受胎・不受胎が推察された。一方,B群の4頭においても,処置後E_2レベルのピークが見られたが発情,排卵は示さなかった。以上の成績から,非繁殖季節中のめん羊の発情,排卵にはMAP処置後PGF_2αよりもPMSG注射がより効果的であり,多胎分娩の可能性が示唆された。
帯広畜産大学の論文
1982-08-25

非繁殖季節におけるめん羊の発情および排卵誘起と受胎性について

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