紫果物時計草の受精に関する研究 : 受粉および受精の観察
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概要
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紫果物時計草の受粉, 花粉発芽, 花粉管の伸長及び受精の過程を明らかにするため実験を行った.柱頭3本のうち, 柱頭を花柱基部より2本切除し, 柱頭1本のみにした花と柱頭無切除の柱頭3本の花に受粉し, 経時的に光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡で観察した.結果は次のとおりである.1.花粉は受粉後1時間内に柱頭上で発芽し花粉管を乳頭状の柱頭組織内に伸ばした.花粉管は受粉後6時間で子房内へ伸長した.胚珠基部まで伸長した花粉管は珠柄に沿って伸長し, 珠孔から胚珠へ伸び受精した.受粉18時間後には受精が終了し, 子房の肥大が始まった.2.3本の花柱の花柱溝は, 花柱基部の子房との接合部で合体して, 子房室に接続している.胎座は花柱溝の延長上の中間に位置する.3.柱頭で発芽した花粉管は花柱溝を通過し, 心皮組織でつながる胎座とは関係なく, 花柱溝合体部から子房室を3胎座に向かって伸長し各胚珠に達する.したがって, 1本の柱頭に受粉しても各胎座の胚珠は正常に発達することが認められた.4.1本の柱頭に受粉することで十分な果実発達が得られるので, 受粉作業の省力化が可能なことを実証した.
- 鹿児島大学の論文
- 1987-03-16
著者
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