エスレルによるキンカン果実の着色促進
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概要
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ニンポーキンカンの着色を促進し, 早期収量を増加させるためのエスレル(2-chloroethylphosphonic acid)の最適散布時期と濃度をきめるために, 加世田市の栽培者の園で3年間実験を行なった.第1実験ではエスレル0ppm, 200ppm, 400ppmを11月4日に散布した.エスレルは着色を促進し, その効果は濃度の高い方が著しく, 特に赤色の発現が顕著であった.第2実験ではエスレル0ppm, 200ppm, 400ppmを早期(10月18日), 中期(10月28日), 晩期(11月9日)に散布した.エスレルの着色促進効果は, 濃度は高い方が, 時期は早いほど著しかった.しかし400ppmの早期散布では50%の落果が, 中期散布では20%の落果があった.第3実験では2年間にわたりエスレル400ppm散布区と対照区の早期収量を調べた.散布は初年度は10月30日に, 2年目は11月2日に行なった.2年間ともエスレル散布によって早期収量は著しく増加し, 1月まで残る果実はほとんどなかった.落葉・落果, あるいは樹体への悪影響は認められなかった.第4実験では, 1.無処理, 2.10月18日200ppm散布, 3.10月18日と11月2日の2回200ppm散布, 4.11月2日300ppm散布の4処理の収量を比較した.300ppm散布で早期収量は著しく増加した.しかし200ppm1回と2回散布の間には差はなく, ともに対照区より早期収量は高い傾向にあったものの, 有意差は認められなかった.以上の結果から10月下旬〜11月上旬の300〜400ppmのエスレル散布が落葉・落果をほとんどおこすことなく, キンカンの着色促進, 早期収量増に有効であると思われた.
- 鹿児島大学の論文
- 1979-03-19
著者
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