紫果物時計草の人工受粉による結果率および果実品質の向上
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概要
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紫果物時計草果実の人工受粉による結果率および果実品質向上に関する知見をうるために研究を行った.結果は次のとおりである.1.果実の諸形質に関する測定値の変動係数は, 果皮重, 果汁重, 種子数などの内的な形質で大きく, 果形を表わす形質で小であった.果実の果汁重と他の全ての形質との間には1%水準で有意な相関が認められ, とくに, 果実重, 種子数との間で相関係数は大であった.果実の諸形質のうちBrix果汁のみが熟度による影響をうけた.2.蕾は4月〜6月に伸長した新梢の各節に着生し, 基部側から順次発達開花した.同一新梢上で順次開花する日数には規則性はなく, 1〜10日間の変動があった.そして, 開花期のうちで日々の開花数は大きく変動したが, 開花数の減少は夜間の低温による影響と推定された.3.2年生樹の結果習性はFig.2のとおりである.開花数は発生の早い基部の主枝に多く, しかも主枝の30〜40節から発生する新梢にもっとも多かった.そして, 新梢における開花節位はほぼ10節以内でそれ以上の節位の蕾は落下した.4.晴天時における自然受粉による結果率は19.0%であったが, 人工受粉すると結果率は90.6%と著しく向上した.雨天時の自然受粉と人工受粉の結果率はそれぞれ6.7%と23%であった.人工受粉の効果は晴天時において雨天時より大であり, 雨天時には柱頭上の花粉が極めて短時間に破裂するのが観察され, これが雨天時の効果を小さくしているおもな原因であると推察された.5.人工受粉によって果実重, 種子数および果汁重が著しく増加し, それらの形質の変動係数も小さくなり, 果汁歩合が高まり, 品質の向上が認められた.
- 鹿児島大学の論文
- 1984-03-15
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