放牧牛におけるダニの寄生・ピロプラズマの感染状況と生理状態の季節的変動

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本調査は, 周年放牧方式がとられている鹿児島大学農学部附属入来牧場で, 牧野ダニの棲息状況・牛体への寄生状況およびピロプラズマの感染状況について牛体の生理状態との関連から調べたものである.供試牛は, 放牧経験のある黒毛和種雌牛10頭, ホルスタイン種雌牛10頭を抽出した.調査は昭和49年8月〜50年7月まで, 毎月1回, 牧野ダニ数, 牛体附着ダニ数, ピロプラズマの感染状況, 体重, 体温, 血液性状および尿性状について行なった.その結果, 牧野ダニの棲息状況および牛体への寄生状況から, 本牧場におけるダニの活動期はおおむね5〜10月であることが観察され, 冬季においても若干の活動が認められた.また, これらのダニはすべてフタトゲチマダニであった.さらに, ピロプラズマの感染状況は年間を通して大部分の牛で感染が認められたが, それらの感染程度は軽度(+)で推移した.つぎに, 血液性状, 尿性状の検査結果から, ダニの活動期にとくに著しい影響が認められなかった.これは, 本牧場におけるダニの発生がそれほど多くなかったことや, また供試牛が既にダニやピロプラズマに対し抵抗性を獲得していたためと推察される.したがって, 放牧経験のある成牛の場合には, この程度のダニ寄生(乳鏡部位で最高200個体)では重大な障害はないものと推察される.一方, 冬季における飼料摂取量の不足は, この時期の低温環境とも関連して牛体の生理状態に著しい影響を与えることが認められ, 乳牛に比べ低栄養状態にある和牛で顕著であった.
鹿児島大学の論文
1977-03-19

放牧牛におけるダニの寄生・ピロプラズマの感染状況と生理状態の季節的変動

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