放牧地における牛糞塊重量と不食過繁地存続期間との関係

概要

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放牧地における牛糞塊重量の違いが不食過繁地(以下,不食地と略)の存続期間に及ぼす影響を検討した。黒毛和種繁殖牛を輪換放牧しているイタリアンライグラス(Lolium multifiorum Lam.)草地に新鮮な放牧牛糞を設置し,設置糞塊重量を,0.25,0.5, 1および2kgの4段階とするとともに,糞を設置しない対照区も設けた。各区とも5反復とし,糞周辺の草丈および不食地面積の変化を1993年3月から同年10月まで調査した。対照区では不食地が形成されなかったが,0.25,0.5,1および2kgのいずれの処理区においても糞設置後35日目で不食地が形成され不食地においては,糞に近い場所ほど草丈が長くなる傾向が認められた。不食地の草丈はいずれの処理区においても糞設置後63日目に最大となった。不食地は消失するまでに0.25,0.5,1および2kg区でそれぞれ,約2,3,4および6ヵ月を要し,糞塊量が多いほど不食地の存続期間が長くなる傾向が認められた。また,不食地の存続期間には季節,とくに降雨の影響が関与しているものと推察された。
日本草地学会の論文
1996-10-31