ホルスタイン種の分娩後の栄養状態と繁殖成績の関連について

概要

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本研究は分娩前後のホルスタイン種の体重, Body condition score(BCS), TDNならびにDCP充足率, 泌乳量, 繁殖成績, 血液性状および血清プロジェステロン濃度等の推移について, 分娩季節による違いやこれらの相互関係を明らかにし, 飼養技術を向上させるための指標を得ようとしたものである.材料は鹿児島大学農学部附属農場入来牧場で飼養中の冬季分娩牛6頭と夏季分娩牛7頭を用いた.得られた結果は次のとおりである.1.体重およびBCSは冬季および夏季分娩牛ともに分娩後減少し, 30日から40日頃に最低値を示し, 以後は徐々に増加したが, BCSは夏季分娩牛が有意に高く推移した.TDNは冬季および夏季分娩牛とも分娩後20日から30日目に充足された.DCPは冬季および夏季分娩牛とも分娩直後から100%の充足率を越え, 過剰給与の傾向にあった.泌乳量は冬季および夏季分娩牛で差は認められなかったが, 最高泌乳量に達したのは夏季分娩牛は30日目頃, 冬季分娩牛は50日目頃であった.分娩後30日までの平均乳量と分娩後30日および40日目の体重増加率との間にそれぞれ負(r=-0.57^*, r=-0.63^*)の, TDNが充足される日数との間に正の有意な相関(r=0.63^*)が認められた.2.卵巣機能は冬季および夏季分娩牛とも分娩後20〜30日目頃に回復したが, 夏季分娩牛は繁殖成績が低下する傾向を示した.プロジェステロン濃度が変動を示すまでの日数と分娩後20日目の体重増加率との間および初回授精までの日数と分娩後10日目までのBCSの増加率との間にはそれぞれ有意な負の相関(r=-0.69^<**>, r=-0.69^<**>)が認められた.3.総コレステロール濃度やリン濃度は冬季分娩牛が高い値で推移する傾向を示した.総蛋白質, カルシウムおよびナトリウム濃度はいずれも夏季分娩牛が高い値で推移する傾向を示した.プロジェステロン濃度が変動を示すまでの日数と分娩時の尿素態窒素濃度, 分娩後20日目のヘマトクリット値および分娩10日前から分娩後30日までのマグネシウムの平均濃度との間にはそれぞれ負の相関(r=-0.57^*, r=-0.65^*, r=-0.61^*), カリウムおよびナトリウム濃度との間にはそれぞれ正の相関(r=0.61^*, r=0.69^<**>)が認められた.また, 初回授精までの日数と分娩前10日から分娩後30日までのA/G比の平均値との間には正の相関(r=0.59^*)が認められた.4.黄体期のプロジェステロン濃度が5ng/ml以上を示したのは冬季分娩牛が6頭中4頭であるのに対して夏季分娩牛は7頭中2頭であった.
鹿児島大学の論文
1988-03-15

ホルスタイン種の分娩後の栄養状態と繁殖成績の関連について

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