雄日本ウズラ(Coturnix coturnix japonica)の排泄腔腺由来泡沫様物質の受精に及ぼす影響

概要

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ウズラは他の家禽類と異なり尾部に排泄腔腺と呼ばれる特殊な隆起物があり, 交尾の際ここから泡沫状の液を排出し射出精液とともに雌性生殖器(総排泄腔)内に注入されている.しかしこの分泌腺の機能や泡沫液の役割については, ほとんど知られていない.本研究は, この泡沫液が受精機構に関与しているか否かを追究する目的で行なったもので下記の実験を繰返した.1)自然交尾の際, 雌性生殖器内への泡沫液混入の有無が, 受精率ならびに受精力の持続性に及ぼす影響について, 排泄腔腺除去雄, 泡沫液排除雄および正常雄を供試雄とする3区に分けて2回の比較実験を行なった。2)人工受精により(精液のみ)を授精する区と(精液+泡沫液)を注入する区の2区を設定し受精率ならびに受精能力の持続性を比較し泡沫液がこれに及ぼす影響をしらべた.以上の実験の結果は次のとおりである.1)自然交尾実験より各区の受精率をみると対照区で56.5%, 排泄腔腺除去区で14.6%, 泡沫液排除区で40.6%であった.また受精率の10日間の推移は, 対照区では8日目まで50%以上の受精率を維持した.これに対し泡沫液排除区では交尾後1〜2日目まではほとんど対照区と差を認めなかったが5日目には, すでに50%近くまで低下し, 対照区との間に3日間の差を生じた.排泄腔腺除去区においては, 受精率および受精力の持続性は最も低い成績であり, とくに対照区との間には著しい差を示した.2)人工授精による(精液のみ)と(泡沫液+精液)の2区による1回注入の比較実験では, 7日間の受精率は精液区で35.6%(精液+泡沫液)区で54.3%であった.また人工授精後1〜2日目までは, 受精率に差がなかったが4日目以後に明らかな差を生じ(精液+泡沫液)区がすぐれていた.以上の実験結果より排泄腔腺起源の泡沫液は受精率ならびに受精能力の持続に有用なものであることが推定された.
鹿児島大学の論文
1974-03-20

雄日本ウズラ(Coturnix coturnix japonica)の排泄腔腺由来泡沫様物質の受精に及ぼす影響

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