Prostacyclin持続注入による肝血行動態の反応 : 犬による血流測定

概要

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Prostacyclinは,細胞保護作用,血管拡張作用,血小板凝集抑制作用等の生理学的作用を有する。今回,我々はprostacyclinの血管拡張作用に注目し,prostacyclinの肝循環および全身循環動態におよぼす影響を調べるため実験を行った。Prostacyclinの上腸間膜動脈内および末梢静脈内持続注入は,門脈血流量の増加と同時に肝動脈血流量の減少を引き起こした。これに対し,腹腔動脈内持続注入では,肝動脈血流量を有意に増加させたが,門脈血流量には明らかな変化を及ぼさなかった。多くの研究者が,種々の原因による門脈血流量の減少によって引き起こされる肝動脈血流量の増加する現象(肝のautoregulation)を報告している。本実験で我々は,prostacyclinの上腸間膜動脈内および末梢静脈内持続注入による門脈血流量の増加に対応する肝動脈血流量の減少と考えられる現象を,全身循環動態測定下に観察した。この現象は,腹部の血行動態を考える上で興味あるものと思われた。
北里大学の論文
1994-10-31