ニンジン懸濁細胞におけるベンスルフロンメチル耐性細胞の選抜およびアセトラクテート合成酵素の薬剤感受性の変化
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概要
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ベンスルフロンメチルに対して耐性を有する細胞を選抜する目的で、ニンジン懸濁細胞をベンスルフロンメチル存在下で培養したところ、約2ヶ月間の継代培養によって耐性を有する細胞を得ることができた。そこで、ベンスルフロンメチルの第一次作用点と考えられるアセトラクテート合成酵素の感受性について、耐畦株と正常株の間で比較した。以下、結果について述べる。(1)ベンスルフロンメチルを1nM含む培地中でニンジン懸濁細胞を培養し、細胞増殖の様相を観察したところ、3週間で増殖率が上昇し始め、約2ヶ月でベンスルフロンメチルを添加する前の増殖率まで生育が回復した(Fig.3)。同一のニンジン由来の他の懸濁細胞を用いても、この耐性化はほぼ同じ時期に再現性よく観察された。(2)(1)で選抜された細胞は10nMのベンスルフロンメチルを含む培地中においてもほとんど増殖率が下がることがなく生育した(Fig.4)。(3)(1)で得られた細胞を10nMのベンスルフロンメチルを含む培地中で4週間培養した後、100nMのベンスルフロンメチル中で培養を続けたが、増殖率は正常の3分の1程度であり、増殖率の回復は観察されなかった(Fig.5)。(4)(1)で得られた細胞を10nMのベンスルフロンメチルを含む培地中で4週間培養した後、ベンスルフロンメチルを添加していない培地中で6ヶ月間継代培養したが、薬剤耐畦に変化は認められなかった(Table 1)。(5)10nMベンスルフロンメチル中で4週間培養した耐性細胞のアセトラクテート合成酵素活性を調べたところ、正常株との間で酵素の量的変動は畢められなかったが(Fig.6、7)、ベンスルフロンメチルに対するアセトラクテート合成酵素の感受性が耐性株において減少していることが判明した(Fig.6、7)。50%阻害濃度はベンスルフロンメチルに曝露していない正常株では6.2nM、耐性株では52nMであった(Fig.8)。
- 日本雑草学会の論文
- 1988-12-26
著者
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