プレチラクロールまたはフェンクロリム処理によるイネおよびタイヌビエの生育とグルタチオンS-トランスフェラーゼ活性への影響

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プレチラクロールまたはフェンクロリム処理時のイネとタイヌビエの生育とプレチラクロールまたはCDNBを基質としたグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)活性について特に初期の生育段階を通じて調べた。種子処理一週間および一葉期幼苗処理において, プレチラクロールによるイネの茎葉部と根部の生育の50%阻害濃度はタイヌビエの場合より高かった。3×10^<-6>, 1×10^<-5>, 2×10^<-5>Mフェンクロリムと混合処理すると, イネ茎葉部および根部のプレチラクロールによる生育抑制が軽減された。タイヌビエは, 種子処理ではその軽減効果が見られなかったが, 一葉期ではある程度回復が見られた(Fig. 2a〜f)。イネにおけるGST_<(pret.)>活性はタイヌビエより高かった。両植物の茎葉部と根部におけるGST_<(pret.)>活性は0.5葉期から一葉期まで生長につれて増加したが, 両植物間のGST_<(pret.)>活性の差は少なくなった(Table 1)。種子に2×10^<-5>Mフェンクロリムと10^<-5>Mプレチラクロールを単独または混合で処理した場合, 一週間後のイネの茎葉部におけるGST_<(pret.)>活性はそれぞれ無処理の1.6, 1.6, 1.8倍になったが, タイヌビエでは0.86, 1.4, 1.5倍になった(Table 2)。この時のイネのGST_<(pret.)>およびGST_<(CDNB)>活性はタイヌビエよりかなり高かった。イネにおけるGST_<(CDNB)>活性は混合処理により1.4倍に増加したが, 単独処理では増加が認められなかった。タイヌビエのGST_<(CDNB)>活性は単剤または混合処理により増加した。一葉期に24時間2×10^<-5>Mフェンクロリムと10^<-4>Mプレチラクロールの単独または混合で処理すると, イネのGST_<(pret.)>活性は茎葉部でそれぞれ1.6, 1.2, 2.5倍に高くなり, 根部でそれぞれ3.6, 3.7, 5.5倍に増加した(Table 3)。タイヌビエ茎葉部では, それぞれ無処理の1.1, 0.86, 1.2倍であり, 根部でもそれぞれ約1.7, 1.7, 2.4倍であった。イネ茎葉部と根部におけるGST^<(CDNB)>活性は, フェンクロリム単剤または混合処理により増加したが, プレチラクロール処理では増加しなかった。タイヌビエ茎葉部では各薬剤処理によりそのGST活性が大きく増加した。二葉朝においても一葉期と同様の結果であったが, イネ根部での薬剤処理によるGST_<(pret.)>活性の増加がそれぞれ1.3, 2.8, 3.6倍と若干低かった。これらの結果から, イネとタイヌビエではGST酵素の基質特異性が異なる, あるいは, アイソザイムが存在すると考えられる。プレチラクロールに対するイネとタイヌビエの選択性はGST_<(pret.)>活性またはその誘導に起因するであろう。また, プレチラクロールの薬害におけるフェンクロリムの軽減機構には, GST_<(pret.)>酵素の誘導が強く関連するものと推察した。
日本雑草学会の論文
1995-10-31

プレチラクロールまたはフェンクロリム処理によるイネおよびタイヌビエの生育とグルタチオンS-トランスフェラーゼ活性への影響

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