クロメプロップ代謝物(DMPA)によるダイコン幼根からの電解質漏出のエチレン作用阻害剤による軽減

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著者らは, クロメプロップ自身はオーキシン活性を示さず, 植物体内でその加水分解物であるDMPAに分解された後に初めてオーキシン結合蛋白質に認識され, オーキシン活性を示すこと, さらにそのDMPAがACC synthaseを誘導することにより蓄積するエチレンによって, ダイコンの形態的変化を引き起こしている可能性が高いことを既に報告した。本研究では, クロメプロップの更に詳しい作用メカニズムを調べることを目的とし, クロメプロップの活性本体であると考えられている, DMPAの処理後に引き起こされるダイコン幼根からの電解質漏出と生育抑制にエチレンが関与しているかについての検討を行った。(1) クロメプロップ, DMPA処理により処理直後から電解質漏出が見られた(Fig. 1)。しかし, エチレン作用の阻害剤であるNBDやPPOHの処理によりその漏出は抑えられた(Fig. 2, 3)。また, DMPAによる側根の発生阻害もNBD, PPOHによって抑えられた(Fig. 4, 5)。(2) 植物体全体からのエチレン放出量と切断根からのエチレン放出量はDMPA処理直後から顕著に増加した。また, 切断根からのエチレン放出量では, 処理24時間まではNBDやPPOHを後処理することによりわずかに増加し, 減少は見られなかった(Fig. 6, 7)。これらの結果は, NBDやPPOHによりエチレン作用を直接的に抑制すると, 2次的なエチレン生成抑制が起こらない段階でDMPA処理により現れた電解質漏出や側根の発生阻害が抑えられたことを示している。(3) エバンス・ブルー染色を行った結果, DMPA処理後の細胞は12時間以降に青色に染まり始めたことから, 処理直後から12時間までに引き起こされる電解質漏出は細胞死によって引き起こされるものではないと推察される。以上の結果より, クロメプロップ, DMPAがACC synthase活性を増大することによって蓄積するエチレンが両薬剤処理後に引き起こされる電解質漏出に関与しており, その膜の完全性損失の結果として側根の生育が阻害されている可能性が強く示唆された。
日本雑草学会の論文
1996-10-25

クロメプロップ代謝物(DMPA)によるダイコン幼根からの電解質漏出のエチレン作用阻害剤による軽減

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