オキシフルオルフェン処理に対する各植物の抗酸化系の応答とその除草剤抵抗性における役割
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ジフェニルエーテル系除草剤オキシフルオルフェンは植物のへム及びクロロフィル生合成系の酵素, プロトポルフィリノーゲンオキンダーゼ活性を阻害し, プロトポルフィリンIX (Proto IX)を蓄積させる。このProto IXによって生成される活性酵素により植物生体成分が過酸化され枯死すると考えられている。ところが蓄積されるProto IX量と殺草活性を植物種間で比較した場合, それらの間に比例関係が見られない場合がある。そこで本研究では植物がもつ抗酸化能力がオキシフルオルフェンに対する抵抗性に果たす役割を明らかにすることを目的とした。まず, 4種類の植物にオキシフルオルフェンを処理したところ, それらの間で抵抗性は大きく異なり, イネが最も抵抗性が大きく, ソバが最も小さかった。トウモロコシとダイコンはそれらの中間であった(Fig. 1-2)。作用原因物質のProto IXの蓄積量を調べたところ, 抵抗性の大きいイネと小さいソバにおいて, 他に比べ大量の蓄積が認められた(Fig. 3)。そこでProto IXの光増感作用により発生すると考えられる活性酸素の処理能力が抵抗性に関与する可能性を考え, オキシフルオルフェン処理時の各植物における抗酸化能力とその処理後の変化を調べた(Fig. 4-8)。その結果, イネにおけるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)とカタラーゼ(CAT)の活性が他の植物種より著しく大きく, アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APx), グルタチオンレダクターゼ(GR)の活性も高かった。また, 抗酸化物質である還元型グルタチオン含量もイネで顕著に大きかった。さらに, 処理後4時間, つまりProto IXが大量に蓄積し活性酸素が生成していると考えられる時間域で, イネにおいてのみSOD, APx, GR活性の上昇が認められた。逆に, ソバにおける抗酸化能力は, 調べられた植物の中で最も低かった。これらの結果から, 植物種間におけるオキシフルオルフェンに対する感受性の違いには, それぞれの種の抗酸化活性と薬剤処理に伴うそれらの変動が密接に係わっていることが強く示唆された。
- 日本雑草学会の論文
- 1999-04-30
著者
関連論文
- 4 フェントラザミドの残効性と土壌水中濃度の土壌間比較
- フェントラザミドの残効性と土壌水中濃度の土壌間比較
- ポルフィリンが誘起する植物脂質の過酸化反応の酸素電極法による測定
- ベンスルフランメチル抵抗性ニンジン細胞のアセトラクテート合成酵素
- 各種植物のグルタミン合成酵素アイソザイムに対するグルホシネートの影響
- 3種イネ科植物におけるNaCl処理によるアミノ酸とグリシンベタインの蓄積と塩類耐性の関連
- 数種イネ科植物の地上部におけるNa含量ならびにK/Na比と耐塩性との関係
- Pl9 塩処理によるアミノ酸とグリシンベタインの蓄積におけるイネ科植物の種間差
- 塩処理によるアミノ酸とグリシンベタインの蓄積におけるイネ科植物の種間差
- 塩処理による活性酸素の誘導と消去活性における耐塩性の異なるイネ2品種間の差異
- P4 イネ植物の耐塩性機構 : 地上部におけるNa^+の分布と耐塩性の程度
- イネ科植物の耐塩性機構 : 地上部におけるNa^+の分布と耐塩性の程度
- 18 ベンスルフロンメチルに対する数種水生シダの生育反応(2-(1)水田)(2. 雑草の防除・管理)
- P46 水生シダ数種のベンスルフロンメチル剤に対する感受性比較
- 減水条件下のプレチラクロールのイネ生育抑制作用におよぼすダイムロンおよびフェンクロリムの軽減効果(雑草学会英文誌"Weed Biology and Management"第3巻1号掲載論文摘要)
- 数種多年生雑草のプレチラクロール耐性は高いチトクロームP-450の高活性に起因する(雑草学会英文誌"Weed Biology and Management"第2巻4号掲載論文摘要)
- 18 減水条件におけるプレチラクロールのイネ生育抑制作用に対するダイムロンとフェンクロリムの軽減効果
- P25 ブレチラクロールのイネ生育抑制作用におよぼすダイムロンとフェンクロリムの影響と土壌中における挙動
- フレチラクロールのイネ生育抑制作用におよぼすダイムロンとフェンクロリムの影響と土壌中における挙動
- P20 プレチラクロールによるイネ生育抑制作用に及ぼすダイムロンの土壌水中濃度の影響
- プレチラクロールのイネ生育抑制作用に及ぼすダイムロンの土壌水中濃度の影響
- P18 カヤツリグサ科水田雑草における耐塩性の種間差
- カヤツリグサ科水田雑草における耐塩性の種間差
- C303 Oxyfluorfen 抵抗性ダイズ培養細胞における抗酸化系酵素活性およびプロトポルフィリン IX 蓄積量の測定
- 24 スルホニルウレア系除草剤抵抗性キカシグサのアセト乳酸合成酵素遺伝子の解析
- スルホニルウレア系除草剤に抵抗性を示すキカシグサ
- P24 ダイズの乾燥ストレスによるパラコート感受性の低下
- ダイズの乾燥ストレスによるパラコート感受性の低下
- 植物における数種除草剤の解毒代謝酵素を中心とした生理生化学的研究(学会賞受賞業績)
- 植物における数種除草剤の解毒代謝酵素を中心とした生理生化学的研究(学会賞(業績賞)受賞特別講演)
- イネとタイヌビエにおけるプレチラクロール, フェンクロリムおよび代謝物含量の差違と選択性, 薬害軽減作用
- フェンクロリムによるイネglutathione S-transsterase活性誘導とプレチラクロールによる誘導の比較
- クロメプロップと加水分解代謝物のオーキシン活性とトウモロコシオーキシン結合蛋白質との結合活性
- 8 選抜ダイズ培養細胞のプロトックス阻害剤に対する耐性機構の遺伝子レベルでの解析
- 選抜ダイズ培養細胞のプロトックス阻害剤に対する耐性機構の遺伝子レベルでの解析
- 抵抗性ニンジン培養細胞によるベンスルフロンメチルの吸収と解毒代謝
- ピリブチガルブによるイネ根端部のスクワレン代謝阻害に及ぼすジメピペレートの影響
- イネ幼苗におけるベンスルフロンメチルの生育抑制に対するジメピペレートの薬害軽減機構
- 実験室酸化還元条件における水田土壌中でのメフェナセットとプレチラルロールの消失
- 116 プロチラクロールとフェンクロリムの混合処理後のイネとタイヌビエにおけるグルタチオンS-トランスフェラーゼアイソザイム活性の差異
- プレチラクロールとフェンクロリムの混合処理後のイネとタイヌビエにおけるグルタチオンS-トランスフェラーゼアイソザイム活性の差異
- イネとタイヌビエにおけるプレチラクロールおよびフェンクロリムの代謝の差異
- イネ・タイヌビエ間におけるグルタチオン濃度, グルタチオンS-トランスフェラーゼ活性およびプレチラクロールとの抱合代謝の差異
- クロメプロップ代謝物(DMPA)によるダイコン幼根からの電解質漏出のエチレン作用阻害剤による軽減
- タウコギとアメリカセンダングサのベンスルフロンメチル感受性差異への葉面吸収および移行の関与
- クロメプロップを根部処理した後のダイコン幼苗でのホルモン作用の発現機構
- 薬害軽減剤フェンクロリムを基質とするイネおよびタイヌビエのグルタチオンS-トランスフェラーゼの性質
- 高等植物の二次代謝系にL-DOPAが及ぼす影響
- イネミクロソーム画分における生体異物の酸化反応と活性の誘導
- プレチラクロールによるglutathione S-transferaseの誘導と活性酸素との関連
- イネにおけるpretilachlorとfenclorimの混合処理によるglutathione S-transferaseの誘導
- クロメプロップによるダイコン幼根からの電解質漏出へのエチレンの関与
- イネ培養細胞の蛋白質生合成に及ぼすベンスルフロンメチルの影響
- 113 高等植物の二次代謝系にL-DOPAが及ぼす影響
- マグネシウム欠乏が抗酸化酵素活性誘導と活性酸素生成型除草剤に対する抵抗性増加に及ぼす影響
- 14 Mg-キラターゼ活性測定とテトラピロール合成阻害剤の影響
- Mg-キラターゼ活性測定とテトラピロール合成阻害剤の影響
- ニンジン培養細胞のグルボシネート耐性とその機構
- 14 プロトポルフィリンIXで誘起される脂質の光過酸化反応の化学的検出法による推定
- プロトポルフィリン IX で誘起される脂質の光過酸化反応の化学的検出法による推定
- オキシフルオルフェン処理に対する各植物の抗酸化系の応答とその除草剤抵抗性における役割
- A120 酸素電極法を用いたポルフィリンによる脂質過酸化の測定と関与する活性酸素分子種の検討
- 90 酵素電極法を用いたポルフィリン類による脂質の光酸化反応の測定
- 酸素電極法を用いたポルフィリン類による脂質の光酸化反応の測定
- 120 Oxyfluorfen処理時における抗酸化能力の植物種間差異
- Oxyfluorfen 処理時における抗酸化能力の植物種間差異
- ニトベギク葉からの水抽出物の土壌中における他感作用と移動性
- 数種の雑草と作物の発芽および初期生長におよぼすTithonia diversifoliaからの水抽出物の影響
- プレチラクロールによるイネglutathione S-transferaseの誘導と活性酸素との関連
- ブレチラクロールとフェンクロリムの混合処理によるイネにおけるグルタチオンS-トランスフェラーゼアイソザイムの誘導
- 塩類耐性Sesbania rostrataと非耐性インゲンマメにおける塩化ナトリウムに対する生理的応答の違い(雑草学会英文誌"Weed Biology and Management"第3巻1号掲載論文摘要)
- オキシフルオルフェン抵抗性および非抵抗性ダイズ培養細胞間におけるプロトポルフィリン IX の蓄積の差異
- 88 キク科Acanthospermum属雑草のfluazifop-butylによる生育抑制
- 10 Oxyfluorfen抵抗性ダイズ培養細胞に過剰発現したプロトックスの局在性
- キク科Acanthospermum属雑草のfluazifop-butylによる生育抑制
- Oxyfluorfen抵抗性ダイズ培養細胞に過剰発現したプロトックスの局在性
- 11 パラコート耐性ダイズ懸濁培養細胞の選抜とその耐性機構
- 10 阻害剤スクリーニングのためのMgキラターゼアッセイ法の改良
- 9 Fluazifop-butylとsethoxydimの生理作用の比較
- パラコート耐性ダイズ懸濁培養細胞の選抜とその耐性機構
- 阻害剤スクリーニングのためのMgキラターゼアッセイ法の改良
- Fluazifop-butylとsethoxydimの生理作用の比較
- 25 選抜ダイズ培養細胞におけるプロトックス阻害剤耐性機構
- 22 プレチラクロールおよび活性酸素により誘導されるイネグルタチオンS-トランスフェラーゼの比較
- 15 ピラゾレートのカロチノイド生合成に対する作用の特徴
- 選抜ダイズ培養細胞におけるプロトックス阻害剤耐性機構
- プレチラクロールおよび活性酸素により誘導されるイネグルタチオン S-トランスフェラーゼの比較
- ピラゾレートのカロチノイド生合成に対する作用の特徴
- プレチラクロールや活性酸素により誘導されるGSTアイソザイムの比較
- 基質処理によるglutathione S-transferase誘導の植物種間における比較
- 117 PretilachlorまたはfenclorimによるGST(pretilachlor)活性誘導の比較
- Pretilachlor または fenclorim によるGST(pretilachlor)活性誘導の比較
- 10 プレチラクロールによるglutathione S-transferaseの誘導と活性酸素との関連
- 基質処理によるglutathione S-transferase 誘導の植物種間における比較
- 70 基質処理によるglutathione S-transferase誘導の植物種間における比較
- イネのシトクロムP-450によるクマリン化合物のο-脱アルキル化反応及び誘導剤, 阻害剤とスルホニルウレア系除草剤の効果
- 9 イネにおけるpretilachlorとfenclorimの混合処理によるglutathione S-transferaseの誘導
- イネとタイヌビエにおけるプレチラクロールとフェンクロリムに対するglutathione S-transferase 特性
- クロメプロップのイネ幼苗の生育抑制に対するジメピペレートによる軽減機構
- クロメプロップのオーキシン活性に対するジメピペレートの混合作用