シメトリンとジメタメドリンのイネ品種およびタイヌビエの光合成と生育に対する異なる影響

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シメトリソとジメタメトリソは構造的に類似した化合物でありながら、植物に対する生育阻害活性が異なる可能性を指摘してきた。そこで本報では、これら2薬剤の異なる活性の発現メカニズムを明らかにする一環として、まずイネ2品種(日本晴、早生統一)およびタイヌピエの生育および光合成に対する影響を比較・検討した。各植物は春日井液を用いた水耕法により3葉期まで生育させ供試した。薬剤の処理は所定濃度の水溶液(10^<-6>〜10<-4> M、 5濃度区)に、 24時間根部を浸漬することにより行った。生育に及ぼす影響の評価は観察と、処理7日後までの新鮮重の増加の無処理区に対する比を求めることにより行った。光合成に対する影響は、それぞれの植物体の茎葉部から葉緑体を単離し、作用点である光化学系IIにおける電子伝達の阻害を酸素電極法により測定した。シメトリンに対しては日本晴が強い低抗性を示し、タイヌビエは感受性、早生統一はそれらの中問的な傾向を示し、これまでと一致した結果が得られた(第1表、第2表)。ジメタメトリソに対しても低抗性の程度には同様の傾向がみられたが、供試植物間での差はシメトリソほど明瞭ではなかった(第1表、第2表)。また2薬剤の処理を比較すると、いずれの植物に対してもジメタメドリンがより低濃度で害徴を発現させ、より生育阻害活性が高いことが明らかとなった。しかし、2薬剤問における生育阻害は、日本晴においてその差がより顕著であり、他の植物ではより小さかった。10<-5>M処理では日本晴のみがシメトリンのみに対して薬害を示さず低抗性を有していたが、その日本晴もジメタメトリソでは薬害を生じた(第1表、第2表)。この日本晴における生育への影響の差は、日本晴が両薬剤に対して他の供試植物より高い低抗性を有しだから、それがシメトリソに対して特異的に強いことに起因するものと考えられた。光化学系IIにおける電子伝達反応は、低濃度のシメトリソおよびジメタメトリソによって阻害されたが、何れの植物由来の単離葉緑体においてもジメタメトリソの阻害が強かった(第1図)。この反応の50%阻害濃度は、シメトリンでは4〜5×10^<-8>M、ジメタメトリソでは約2×10^<-8>Mであったが、供試植物問の差はほとんどたかった(第3表)。これらの結果より、2つの薬剤間でこれらの植物の生育に及ぼす影響の強さには差があることが明らかとなり、また、ジメタメトリソがより阻害の大きい要因として、作用点における阻害が強いことが指摘された。しかし、両薬剤による生育阻害の受け方に供試植物間で違いがあること、すなわち、日本晴では両薬剤に低抗性を示しながらも、それらによる生育への影響の差異がより大きく、早生統一とタイヌピエでは比較的感受性で薬剤間の差が小さいことの機構については明らかではたく、更に検討を要すると考えられた。
1987-08-31

シメトリンとジメタメドリンのイネ品種およびタイヌビエの光合成と生育に対する異なる影響

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