明暗条件下におけるクロメトキシニルの作用と消失
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概要
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クロメトキシニルの作用と吸収、移行、代謝およびそれらに対する光の影響について、イネとタイヌピエを用いて検討した。植物は水耕法により3〜4葉期まで生育させ供試した。薬剤の処理とその後の生育はすべて昼30℃、夜25℃、湿度60%、照度15klxに設定したグロースキャビネット内で行った。クロメトキシニルの作用と光の影響は、明暗両条件下で各植物の茎葉部を所定濃度(0、 1、 5、 20ppm)のクロメトキシニル液に3時間浸漬し、その後明暗それぞれの条件下で2日間の生長を調査することにより検討した。また、同様に根部処理も行った。明条件下では茎葉処理されたタイヌビェにのみ殺草作用が発現した(Fig.1)。暗条件下では作用はみられなかった(Fig.2)。吸収および移行は^<14>C標識クロメトキシニルを用い、明暗下で茎葉を浸漬して経時的に採取し、茎葉および根部に含まれる放射能を測定することにより検討した。また、根部からの吸収と移行はオートラジオグラフィーによった。茎葉からの吸収速度はタイヌビエの方がイネよりも大きかった。光条件は吸収に影響しなかった(Fig.3)。このことから暗条件下では吸収はされながら作用が発現しないことが明らかとなった。根から吸収されたクロメトキシニルは地上部へは全く移行しなかった。(Fig.4)体内での代謝は明暗条件下で茎葉を^<14>C標識クロメトキシニル液に3時間浸漬し、その後経時的に採取し、磨砕、溶媒抽出および分画、TLC等の手順、方法で検討した。明条件下では未変化のクロメトキシニルを含むn-ヘキサン画分の放射能の急速な減少がイネにおいて大きく、タイヌビエでは少なかった。それに伴ってイネでは水画分と残溢中の放射能が増加した。暗条件下においてもイネでの代謝速度が大きかったが、明条件下と比較すると顕著に小さかった(Fig.5)。n-ヘキサン画分中の親化合物と代謝産物の割合を調べた結果(Table 1)、タイヌビエではほとんどが分解を受けず、親化合物のままであるのに対し、イネでは親化合物が急速に減少し、この差が選択性の主要因と推察された。主代謝産物として3'位のメチル基の脱離した脱メチル体が同定された。また、特にイネにおいて光による代謝促進作用が示された。脱メチル体の活性は親化合物のそれより小さかった(Fig.7)。加水分解の結果、脱メチル体が多く検出され、脱メチル反応を経て抱合を受ける代謝経路が示唆された(Fig.6)。
- 1988-05-26
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