水稲とミズガヤツリにおけるアジムスルフロンの吸収, 移行および代謝の差異

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新規水稲作用除草剤アジムスルフロンの水稲-ミズガヤツリ間における選択作用機構を明らかにするため, 各植物体での^<14>C-アジムスルフロンの吸収, 移行および代謝を調べた。水稲およびミズガヤツリのアジムスルフロンに対する感受性の違いを確認するため, 水耕法を用いて各植物体の地下部(根, あるいは根と塊茎)にアジムスルフロンの水溶液を所定時間処理したところ, ミズガヤツリの茎葉部および根部生車は明らかに減少したのに対し, 水稲はあまり影響を受けなかった(Fig. 1)。すなわち, 水稲とミズガヤツリとの間で明確な選択性が認められた。この選択性のメカニズムを明らかにするために^<14>C-アジムスルフロンの水溶液に水稲の根部およびミズガヤツリの根部と塊茎部を浸漬処理し, 所定時間後に^<14>C-アジムスルフロンの各植物体における吸収量と分布および代謝を調べた。まず, 茎葉部および根部への吸収量はアジムスルフロンに対してより感受性の低い水稲の方がむしろ大きく, 吸収, 移行と感受性との間に関連性は認められなかった(Fig. 2)。一方, ^<14>C-アジムスルフロンは水稲の茎葉および根部中で速やかに代謝され主代謝物であるピリミジン環メトキシ基の脱メチル体を生じた(Table2, Fig. 3)。この脱メチル体の生物活性を水稲, コナギ, タマガヤツリ, ミズガヤツリを用いて調べたところ, 親化合物に比べ明らかに生物活性は低かった(Fig. 4)。これに対し, ミズガヤツリ体中での分解は明らかに遅く, その主要代謝物は加水分解物および数種未同定代謝物であった(Table 3)。以上の結果から, アジムスルフロンの水稲-ミズガヤツリ間選択性は, 主にこれら植物間の代謝能の差に起因する可能性が高い。
日本雑草学会の論文
1996-02-09

水稲とミズガヤツリにおけるアジムスルフロンの吸収, 移行および代謝の差異

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