中国雲南省イネ遺伝資源における胚乳アミロース含有率変異の解析および突然変異による低アミロース系統の作出
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概要
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中国雲南省の周辺は, 各種同位酵素の遺伝変異の多様性に基づいて, アジア栽培イネの遺伝変異中心の一つとされている.その特徴の一つとして, 胚乳アミロース含有率変異の多様性および低アミロース品種の豊富な存在が指摘されてきた.本研究は, 雲南省イネ遺伝資源において, アミロース含有率の遺伝変異が豊富な品種群をインディカ水稲, ジャポニカ水稲および陸稲品種の中から特定すること, 並びにジャポニカ水稲品種の育種のために有用な低アミロース遺伝変異の探索および作出を目的としておこなわれた.376の雲南省産イネ品種を調査した結果, アミロース含有率の変異が最も大きい品種群は, 同省西南部に広く分布する陸稲であった.従来報告されていなかった4〜10%の低アミロース品種も, 陸稲品種群に見いだされた.種子成分の変異に基づく栽培イネの分化および育種への遺伝資源の利用について論議した.本研究の結果, 雲南省のジャポニカ水稲の在来品種128および改良品種130の中には, 含有率4〜12%の低アミロース品種は見いだされなかった.そこで, 化学的突然変異源N-methyl-N-nitrosourea(MNU)を用いて, 低アミロース突然変異を作出した.日中共同研究育成品種「合系4号」(含有率19.2%)のMNU処理後代から, 低アミロース性突然変異7系統(含有率2.5〜12.8%)を見いだした.原品種と主要農業形質や収量性が類似し, アミロース含有率が異なる有望な3系統を選抜した.これらの突然変異系統を用いた, 雲南省水稲品種の食味改良育種について論議した.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2000-12-01
著者
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長峰 司
農業生物資原研究所
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工藤 悟
愛知県農業総合試験場山間農業研究所
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長峰 司
生物研
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長峰 司
(独)農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所
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冨田 桂
福井県農業試験場
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丹野 久
北海道立中央農業試験場岩見沢試験地
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伊勢 一男
Jircas
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丹野 久
北海道立上川農業試験場
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春原 嘉弘
青森県農業試験場藤坂支場
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伊勢 一男
農水省農業研究センター
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工藤 悟
愛知県農業総合試験場
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伊勢 一男
国際農林水産業研究センター
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戴 陸園
雲南省農業科学院
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葉 昌榮
雲南省農業科学院
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載 陸園
中国雲南省農科院
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孫 有泉
雲南省農業科学院
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楊 暁洪
雲南省農業科学院
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長峰 司
農業生物資源研
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長峰 司
農林水産省農業生物資源研究所
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孫 有泉
中国雲南省農業科学院
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葉 昌榮
中国雲南省農科院
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