寒地における水稲もち米品質の年次間と地域間の差異およびその発生要因(品質・加工)
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概要
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2000〜2003年に北海道の6地域で,各年に全域で236〜295,計1044点の水稲品種「はくちょうもち」のもち米品質と同13〜28,計86点の搗き餅の硬化性を調査した.さらに,各地域の生育を調査し,年次間と地域間の差異と変動要因を明らかにした.年次別平均値には,不稔歩合で5.7〜42.3%,玄米収量で270〜514kg/10a,品質では整粒歩合で74.2〜88.4%,玄米白度で21.8〜26.3,精米白度で44.6〜52.7,蛋白質含有率で8.4〜9.8%,硬化性で100〜244gの大きな差異があった.地域間差異は,整粒歩合と蛋白質含有率で年次間差異とほぼ同じであったが,玄米白度,精米白度,硬化性はそれぞれ22.7〜24.4,46.0〜50.3,124〜173gであり年次間差異よりも小さかった.ただし,気象が冷涼な地域では,冷害年の不稔発生が多く減収程度が大きいため,整粒歩合,玄米白度,白米白度,蛋白質含有率の地域内変異が大きかった.また,不稔歩合が低く整粒歩合が高いほど蛋白質含有率が低く,蛋白質含有率が低く出穂後40日間の日平均積算気温が高いほど玄米白度と精米白度が高かった.さらに,同積算気温が高いほど硬化性も高かった.このように,北海道産もち米の硬化性は年次間差異が大きく,2003〜2004年の新潟県産「こがねもち」と佐賀県産「ヒヨクモチ」に比べいずれも低かった.以上より,良品質もち米の安定生産には,不稔発生回避,低蛋白質米生産,生育促進が重要と考えられた.さらに,硬化性は北海道内の地域間差異も小さくなく,硬化性の高いもち米生産には作付け地域の限定が必要である.
- 2009-01-05
著者
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