水稲新品種「彗星」の育成
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概要
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水稲新品種「彗星」は1996年に北海道立中央農業試験場で酒造好適米を目標に交配した「北海278号」(後の「初雫」) と「空育158号」(後の「吟風」) との雑種後代から育成し,2006年2月に北海道の優良品種に認定された。同年7月農林水産省に品種登録(「第14300号」) され,「彗星」と命名された。出穂期と成熟期は「吟風」,「初雫」,「きらら397」並の"中生の早"である。稈長は「吟風」,「きらら397」並で,穂長は「初雫」より長く「吟風」,「きらら397」より短い。穂数は「きらら397」より少なく「吟風」,「初雫」より多い。草型は「吟風」,「初雫」と同じ"中間型"である。障害型耐冷性は穂ばらみ期が「吟風」,「きらら397」より強く「初雫」より弱い"強"であるが,開花期は「きらら397」より弱く「吟風」並の"極弱"である。葉いもち抵抗性および穂いもち抵抗性は「きらら397」より強い"やや強"である。耐倒伏性は「吟風」並の"やや強~強"である。玄米収量は「初雫」並に多収である。千粒重は「吟風」,「初雫」,「きらら397」より重い。心白の発現は「吟風」より少なく小さい。玄米品質は「吟風」並の"中上"蛋白質含有率は「吟風」より低く「初雫」,「きらら397」並である。酒造適性について「吟風」に比べ精米時間がやや長く,吸水時間は少し長めである。原料処理と蒸米および製麹作業性が「吟風」並に良好である。酒質が「吟風」と異なり,きれいなタイプの酒質を好む業者に評価される。以上の特性から,本品種を「初雫」の全てと,不適地に作付されている「吟風」および「きらら397」の一部に替えて普及することにより,収量と品質の安定性を向上させ,北海道の酒造好適米の品質向上と安定生産ならびに北海道米の販路の拡大に寄与することが期待される。
- 2011-03-00
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