ミャンマーにおけるイネ地方品種の出穂期の品種間変異

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ミャンマー連邦は東南アジアの西端に位置し,北緯9゜32′から28゜31′,東経92゜10′から101゜10′の間にある.各地域で栽培されるイネ品種には,浮稲,深水稲,潅漑稲,天水田稲(高地水稲,低地水稲),陸稲と多くの栽培型がみられる.本研究では,ミャンマー全土から州・管区別に選んだイネの1,240地方品種をミャンマーのほぼ中央部のYezinに位置する中央農業試験場(北緯19゜16′)の水田圃場に6月に栽培して出穂期の変異を調べた.さらに1,391地方品種を3月および8月の日長条件の異なる2作期で栽培し,出穂期とその決定要素としての基本栄養成長性と感光性について解析した.その結果,出穂期とともに基本栄養成長性と感光性のいずれの要素にも多様な品種間変異があることが明らかになった.とくに,3月と8月播種で栽培した場合の到穂日数の差から推定した感光性程度には,60日を境として感光性程度の大きい群と小さい群とにはっきり分化していることが分かった.また,感光性程度の品種間変異に関する地域性を明らかにするために,感光性程度が59日以下のI群,60日から109日までのII群.110日以上のIII群の3群に区分して,地方品種の割合を州・管区別に調べたところ,感光性程度の異なる地方品種の割合には, Ayeyarwady管区やTanintharyi管区では,感光性程度の大きい品種が多く,一方,Shan州,Kachin州,Chin州の山岳丘陵地域では,感光性程度の小さい品種が比較的多いなど地域間差異があることが分かった.このことから出穂性に関する地方品種の分化の様相は,イネの栽培体系や地域環境適応性と密接に関連していると考えられた.
日本熱帯農業学会の論文
2003-09-01

ミャンマーにおけるイネ地方品種の出穂期の品種間変異

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