ダイジョ(Dioscorea alata L.)塊茎の休眠並びに休眠覚せいと外的要因との関係
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概要
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東南ァジアおよびオセアニアの熱帯地域から導入されたダイジョ(D. alata)系統を温帯の鹿児島で栽培し,それらの塊茎の休眠並びに休眠覚せいと外的要因との関係について検討した.供試した48系統の全ての塊茎に休眠現象が認められ,25℃貯蔵条件下におけるそれらの休眠期間は2ヶ月弱から4ヶ月に及び,系統間に大きな差異が認められた.塊茎を25℃で貯蔵した場合,塊茎の生体重は貯蔵日数の増加に伴って漸減し,貯蔵90日間における48系統の平均減少率は20.5%であったが,各系統間に大きな差異が認められた.一方,休眠期間の長い系統群と短い系統群の間で生体重の減少程度を比較した場合,両者間にはほとんど差異がなく,生体重の減少程度は休眠にほとんど影響しないと推察された.塊茎の肥大生長における塊茎の含水率低下の程度に基づいて区分された早生4系統,中生37系統および晩生7系統の収穫塊茎を25℃条件下に貯蔵した場合,平均休眠期間はそれぞれ65日,66日および61日であり,肥大生長の早晩性の程度は異なっても休眠期間に大きな差異は認められなかった.しかし,肥大成長における塊茎の成熟期を基準として早生系統と晩生系統の休眠期間を比較した場合,早生系統の塊茎の休眠期間の方が晩生系統のそれよりも長いと推定された.塊茎を10℃以下の条件下に貯蔵した場合,ダイジョ塊茎は低温障害を受けるが,15℃条件下では障害はなく,長期にわたって全く萌芽しなかったことから,ダイジョ塊茎の貯蔵に最適な温度は15℃近辺と推定された.熱帯原産のダイジョ塊茎の休眠は低温に全く遭遇しなくても覚せいしたので,その休眠覚せい現象に低温を必要としないと推定された.塊茎を20, 25, 30および35℃に貯蔵した場合,35℃貯蔵では貯蔵期間の増加に伴って障害が認められたが,20℃から30℃の間では高温ほど休眠覚せいは促進された.塊茎の休眠覚せいは,高温ほど促進され,35℃,10日間処理区で休眠打破の著しい効果が得られた.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2003-03-01
著者
-
冨永 茂人
Faculty Of Agriculture Kagoshima University
-
冨永 茂人
鹿児島大学農学部
-
遠城 道雄
鹿児島大・農
-
Tominaga Shigeto
Kagoshima Univ. Kagoshima Jpn
-
林 満
熱帯作物学研究室
-
林 満
鹿児島大学
-
遠城 道雄
鹿児島大学農学部
-
朴 炳宰
鹿児島大学農学部
-
志和地 弘信
International Institute of Tropical Agriculture
-
林 満
鹿児島大学農学部
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