台木と穂木品種がポンカンの果実品質に及ぼす影響
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概要
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3種類の台木と3種類のポンカン系統を供試し,台木と栽培品種が収量と果実品質に及ぼす影響について1989年 (4年生) から2001年 (16年生) までの13年間にわたって試験を行った。その結果は以下のとおりであった。毎年の分散分析の結果,収量,果実品質ともに台木と系統により有意な差が見られる年が多かったが,台木と穂木の交互作用が有意な年は少なかった。収量,果実重および個々の果実品質について台木別に比較すると,収量はカラタチ台で高く,クレオパトラ台とユズ台の間にはほとんど差がなかった。果実重,着色度,果形指数,滴定酸含量および色差計示度は台木による差は明確でなかった。ユズ古では,果肉率は有意に小さく,す上がりは有意に多かった。す上がりはクレオパトラ台とカラタチ台では少なかった。糖度 (Brix) は,1994年 (9年生) 以降はカラタチ台で最も高く,次いでクレオパトラ台であり,ユズ台で最も低い傾向にあった。糖酸比はカラタチ台で高い傾向にあった。系統別に比較すると,収量と果実重は1994年 (9年生) 以降,'吉田ポンカン'と'北園ポンカン'で高く,'太田ポンカン'で低い傾向にあった。着色度は1995年 (10年生) までは'太田ポンカン'で有意に良好であったが,1996年以降は系統間差が小さくなった。果形指数は'吉田ポンカン'で小さく,'北園ポンカン'と'太田ポンカン'で大きかった。果肉率は'太田ポンカン'で他の2品種よりも高かった。'吉田ポンカン'はす上がりの発生が多かった。糖度 (Brix) は,'吉田ポンカン'と'北園ポンカン'で高い傾向にあった。滴定酸含量と色差計示度は'太田ポンカン'で高く,糖酸比は'北園ポンカン'と'吉田ポンカン'で高い傾向にあった。
- 2004-03-26
著者
-
冨永 茂人
Faculty Of Agriculture Kagoshima University
-
川口 昭二
鹿児島大学農学部附属農場唐湊果樹園
-
山本 雅史
果樹園芸学研究室
-
冨永 茂人
果樹園芸学研究室
-
Tominaga Shigeto
Kagoshima Univ. Kagoshima Jpn
-
谷村 音樹
附属農場唐湊果樹園
-
川口 昭二
附属農場唐湊果樹園
-
谷村 音樹
鹿児島大学農学部附属農場唐湊果樹園:(現)附属農場指宿植物試験場
-
佐藤 宗治
植物育種学研究室
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