真正種子(TPS)由来のスモールチューバー(small tuber)の効率的な生産法の確立
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概要
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本研究では, まず, 真正種子(True potato seed : TPS)を発芽させ, in vitroで6〜7節間を持つ実生苗を育成し, この実生苗の一節茎断片の継代培養によって増殖を行った.この方法は実生苗がわずか20日間で得られ, 従来の茎頂培養法に比べて, 培養期間が大幅に短縮されるなどの利点を有するものであった.一節茎断片から作出した小植物体にin vitroで塊茎誘導処理を施した後, 25℃, 16時間日長条件(塊茎非形成条件)下で移植・栽培した場合, 対照区は, 塊茎の形成が全く認められず, 誘導処理10日及び20日区の塊茎形成率はそれぞれ80%及び100%であった.自然条件下で塊茎が形成される時期の処理では, 対照区と処理区とも塊茎が着生したが, 塊茎の着生数は誘導処理区の方が多かった.そのため, 塊茎誘導処理は塊茎の形成のみならず, 塊茎数の増加にも有効であった.このTPS由来の種イモ生産に関する結果は, 従来の茎頂培養法よりも簡便であり, 温帯のみならず, 熱帯, 亜熱帯において種イモの周年生産が可能であることを示唆するものである.また, 生産されたスモールチューバーは, 貯蔵中の乾燥による塊茎の消滅がほとんどなく, 萌芽率が高く, マイクロチューバーよりも, 貯蔵性がかなり向上することが明らかになった.このスモールチューバーを種イモとして圃場で1回繁殖を行うことによって, 農家に配布できる種イモを生産できる可能性が示唆された.本研究のスモールチューバー作出法は, 現行のマイクロチューバー作出法より, 種イモの増殖世代を短縮でき, 生産コストを大幅に節約できることが明らかとなった.
- 2000-03-01
著者
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