ダイジョ(Dioscorea alata L.), ナガイモ(D.opposita THUNB.)およびジネンジョ(D.japonica THUNB.)の光周反応
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概要
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ダイジョ(D.alata)およびナガイモ(D.opposita)のそれぞれの数系統とジネンジョ(D.japonica)について, 塊茎の肥大生長に対する種および系統の光周反応を比較検討した.夏至前後の6月1日と7月1日に, 植え付け後60日目の株に対して, 10時間日長の短日処理を20回行った.6月の処理では, 塊茎の肥大生長は全ての種および系統において促進された.一方, 7月の処理において, 塊茎の肥大生長は, ダイジョの早生および晩生系統において促進されたが, ダイジョの極早生系統, ツクネイモ群およびジネンジョにおいては促進されず, ナガイモ群およびイチョウイモ群では逆に抑制された.この結果から, 塊茎の肥大生長は第一義的には短日によって促進されるが, 短日に対する反応の程度は, 塊茎の生育段階によって異なり, 塊茎の生長の緩慢期における処理は肥大生長を旺盛期へと転換させて促進的に作用するが, 生長の転換期の処理では促進効果が無く, 転換期以降の処理は逆に抑制的に作用することが明らかになった.ダイジョの極早生系統の塊茎は14時間日長の条件下では温度条件を変えても, 肥大生長の転換は誘起されなかったが, 12時間日長の条件下では転換された.温度は肥大生長の転換には影響を及ぼさなかった.このことから, 短日はダイジョの塊茎の肥大生長を旺盛な生長へ転換させる主要因であることが確認された.しかし, ナガイモおよびジネンジョの塊茎は, 14時間日長の条件下では肥大生長の転換が認められなかったが, 緩慢な生長を続け, ダイジョの反応とは異なることが明らかになった.熱帯原産のダイジョにおいて, 感光性が弱く, 極早生の形質を有する系統は温帯での栽培が可能であると推察された.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2000-06-01
著者
-
志和地 弘信
鹿児島大学
-
遠城 道雄
鹿児島大・農
-
林 満
熱帯作物学研究室
-
林 満
鹿児島大学
-
遠城 道雄
鹿児島大学農学部
-
志和地 弘信
International Institute of Tropical Agriculture
-
林 満
鹿児島大学農学部
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