改良ランキン装置を用いた輸入雑豆中の遊離シアン及びシアン配糖体の分別定量法
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概要
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改良ランキン装置を用いた通気蒸留法による簡便かつ高感度のシアン定量法を開発した.この方法は, 粉末試料0.2gを用い, 0℃で20分更に50℃で2時間通気蒸留して, 遊離型シアンと結合型(配糖体)シアンを分別捕集し, クロルシアンを生成させ, ヘッドスペース法によりECD-GLCで定量するものである.この方法は従来の方法に比べて, 遊離シアンと結合型(配糖体)シアンが同時に測定可能であり, 少量の試料を用いるだけですみ, 操作が簡便で分析時間を短縮することができ, 微量定量が可能である, という利点がある.ヘッドスペース法によるシアンの定量限界は, 1試験管あたり0.1μgであった.また, 市販のアーモンドプードル, 小豆及び輸入サルタニ豆の粉末各0.2gを用いて遊離シアン, アミグダリン及びリナマリンの添加回収実験を行ったところ, 以下のような結果を得た.遊離シアンの回収率は, 酵素添加の有無にかかわらず92.0-101.5%であった.アーモンドプードルでのアミグダリンの回収率は, 酵素添加時は90.0%, 酵素無添加時は16.1%であった.小豆粉末でのリナマリンの回収率は酵素添加時は89.7%, 酵素無添加時は13.2%であった.一方, サルタニ豆でのリナマリンの回収率は酵素添加の有無にかかわらず87.5-90.0%であった.したがって, サルタニ豆のような輸入雑豆の場合は酵素添加は不要と考えられた.本法を用いて, 輸入ベビーライマ豆, バター豆, サルタニ豆のシアン含有量を分別定量した.ベビーライマ豆の総シアン含有量は45.0-76.9ppm, 遊離シアン含有量は0.5-3.1ppm, バター豆の総シアン含有量は241.6-326.4ppm, 遊離シアン含有量は0.1-6.4ppm, サルタニ豆の総シアン含有量は327.2ppm, 遊離シアン含有量は3.3ppmであった.これらの定量値は, 以前に報告されているものとほぽ同じであり, 本法は実際の輸入豆のシアン含有量の測定に十分用いうることが示された.
- 公益社団法人日本薬学会の論文
- 1988-04-30
著者
-
伊藤 誉志男
武庫川女子大学薬学部
-
伊藤 誉志男
国立衛生試験所大阪支所
-
中村 優美子
国立医薬品食品衛生研究所大阪支所
-
中村 優美子
国立衛生試験所大阪支所
-
外海 泰秀
国立衛生試験所大阪支所
-
中村 優美子
医薬品食品衛研
-
田辺 弘也
相模女子大学
-
長谷川 ゆかり
国立衛生試験所大阪支所食品試験部
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