置換誤りを含んだべた書きかな文の仮文節境界の推定方法

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べた書きの漢字かな交じり文の文節切りについては,これまでに高精度な技術が確立されている.しかしべた書きかな文の場合には,あらゆる単語候補の組み合わせを考慮して解析しようとすると,一般に探索木が爆発するという問題が生じ,これまでに有効な方法が得られていない.このような問題を解決するために,正しい日本語文に対して,仮文節の考え方を導入し,音節の2重マルコフ連鎖モデルを用いて仮文節境界を推定する方法が提案され,その有効性が示されている.本論文では,これらの仮文節境界を音声認識装置から出力された文に適用可能とするために,正しいかな文(音節文)に対する従来の2重マルコフモデルによる仮文節推定法ならびにこれらの方法を拡張して新しく提案する推定法を,音節候補ラティスからマルコフ連鎖確率を用いて評価されたマルコフ最尤型置換誤りと一定区間内に高々1つの置換誤りがランダムに生じるランダム型置換誤りに適用し,仮文節境界推定法の有効性を定量的に評価する.また新聞記事を用いた実験を行うことにより,次のような知見を得た.1. マルコフ最尤型置換誤りを含んだ文の場合には,正しい文と同様な方法により,最大で再現率72%,適合率76%の結果が得られた.正解文の場合と比較して,再現率で5%,適合率で6%程度の低下であり,このタイプの置換誤りは正解文にかなり近いことが分かった.2. ランダム型置換誤りを含んだ文の場合には,順方向と逆方向の2重マルコフモデルを組み合わせて誤りの位置を考慮した新しい手法により,最大で再現率77%,適合率69%の結果が得られ,本手法が有効であることが分かった.
一般社団法人情報処理学会の論文
1994-03-17

置換誤りを含んだべた書きかな文の仮文節境界の推定方法

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