2重音節マルコフモデルによる日本語の文節音節認識候補の曖昧さの解消効果

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日本語の音声認識において,音声の物理的特性に着目した認識アルゴリズムで解決できない認識の曖昧さを,日本語の表現の持つ特徴に着目した方法で解消する問題について論じ,特に日本語の音節の連鎖特性を用いた音声認識装置の音節候補絞り込みの効果を明らかにする.音節の連鎖特性としては,日本語の単語または文節の音節数等の性質からみて,また0重,1重に比べて,2重マルコフ連鎖のエントロピーがかなり小さくなることから,本論文では2重マルコフ連鎖特性を取り上げその効果を実験により明らかにする.実験では,新聞記事70日分の音節連鎖特性を求め,これを用いて音節マトリックスで表された1,000文節の文節音節候補を対象(ただしマトリックスは,置換誤りのみを含むように模擬的に作成したもの)に,音節候補の絞り込み効果を求めた.その結果,マトリックスの各音節候補内に正しい音節が含まれる場合は,文節音節列10位までに,正解音節列が94.1〜97.2(第1位は,60.4〜66.3)%含まれ,さらに音節認識装置からの各音節候補の認識重み確率も用いた場合は,10位までの文節正解率は,95.8〜98.7(第1位は72.4〜78.8)%に向上することがわかった.また前者の正解率は1重マルコフ連鎖を用いた場合に比べて10位までで18.3〜21.7(第1位で28.4〜32.5)%高い値であり,2重マルコフ連鎖による絞り込み効果が著しく大きくなることを示している.
一般社団法人情報処理学会の論文
1989-04-15

2重音節マルコフモデルによる日本語の文節音節認識候補の曖昧さの解消効果

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