亜鉛(II)-ジメルカプトマレオニトリル錯体によるコバルトの吸光光度定量

概要

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コバルトはジメルカプトマレオニトリル(以後H_2mnt又はH_2Lと略記する)と反応し,波長288nmに吸収極大(ε^<288nm>=5.59×10^4l/mol cm)を持つ水溶性の錯体を生成する.試薬mnt^<2->の水溶液は比較的不安定であるが,その亜鉛錯体は空気酸化に対し安定である.亜鉛錯体中のmnt^<2->はコバルトと定量的に反応すること,及び波長288nmにおけるコバルト錯体と亜鉛錯体との吸光度差が十分大きいこと(Δε^<288nm>=5.0×10^4l/mol cm)を利用して,コバルトの吸光光度定量が可能である.検量線は0〜22μg Co^<2+>/25mlの範囲でよい直線性を示した.検量線から得られる吸光度0.001に対する感度は0.0012μg Co^<2+>/cm^2であった.コバルトと試薬及びコバルトと亜鉛錯体との反応の化学量論を検討した結果,生成するコバルト錯体の組成は,CoL_3^<3->であった.又,このコバルト錯体は,ヨウ化テトラ-n-ヘキシルアンモニウム(以後tha^+I^-と略記する)とイオン会合体を形成し,クロロホルムに抽出される.抽出錯体の組成を検討した結果CoL_3^<3-> : tha^+=1:3の組成比が得られ,錯体の荷電は-3であることが確かめられた.
1976-08-10