遷移金属塩溶液による有機イオウ化合物の液液抽出機構 : 抽出に対する陰イオンの効果
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概要
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遷移金属イオンとサルファイドとの錯形成反応を利用し,有機相中のサルファイドの抽出を各種金属イオンを用いて行なった結果,<I>d</I><SUP>9</SUP>〜<I>d</I><SUP>10</SUP>電子構造をとる遷移金属イオンが有効であることがわかった.錯体の吸収スペクトルは,Hg<SUP>2+</SUP>の場合,245mμ,Cu<SUP>2+</SUP>の場合,350〜360mμに吸収極大をもち,錯体の組成は,Jobの連続変化法から,[Me]:[sulfide]=1:1であることがわかった.この結果は,金属イオン濃度と分配比との直線関係から求めた錯体組成とよく一致した.また,Cu<SUP>2+</SUP>に各種アニオンが結合した場合,CN<SUP>-</SUP>> SCN<SUP>-</SUP>> Br<SUP>-</SUP>>Cl<SUP>-</SUP>> ClO<SUB>4</SUB><SUP>-</SUP>〜NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>の順に金属イオンの抽出力が増大した.このアニオンの効果の順序は,連続変化法より求めた安定度定数の大きさの順序から,よく説明できる.なお,この配位子の効果の順序は,平面型錯体の置換反応におけるトランス効果の順序と一致する.<BR>分配クロマトグラフィーによるサルファイドの分離に対するこの効果の応用の可能性について推論した.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
-
上舘 民夫
北海道大学大学院工学研究科
-
青村 和夫
北海道大学工学部
-
四ツ柳 隆夫
北海道大学工学部工業分析化学第二講座
-
四ツ柳 隆夫
北海道大学工学部
-
青村 和夫
北海道大学
-
上舘 民夫
北海道大学工学部工業分析化学教室
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