台湾中部山地のニイタカトウヒ天然林における主要樹種の垂直分布
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
台湾大学実験林沙里仙渓流域の上流部にある標高2,400mから2,900mに残存するニイタカトウヒ天然林を対象に, 標高差100 m の間隔で四分法を用いて, 種組成と林分構造についての調査を行った。その結果, 調査林分には合計29の樹種が出現したが, その中でとくに針葉樹のニイタカトウヒとタイワンツガが調査地域にわたって広く分布していた。また, 主要樹種の分布パターンについて検討すると, 標高傾度によって異なった樹種構成が確認された。低標高域の2,400mと2,500mでは, 上述の2種のほか, 針葉樹のべニヒ, 常緑広葉樹のコバノシロダモ, ヤマグルマ, オオバヒメユズリハ, 落葉広葉樹のシマウリハダカエデ, タイワンハンノキなどもよく混生して出現し, 森林群落の相観は針広混交林の様相を呈していた。一方, 標高2,600〜2,900mの地域では, ほとんどニイタカトウヒとタイワンツガが林冠層で圧倒的に優占し, 冷温帯性の針葉樹林帯を形成していた。このような森林群落は東アジア・モンスーン湿潤気候帯における他の地域と比較すると特徴的であり, ここにその位置付けに関する考察を試みた。
- 日本森林学会の論文
- 1996-08-16
著者
関連論文
- DEM を用いた秩父天然林における小地形の抽出とブナとイヌブナの分布特性
- 秩父山地における林冠の撹乱規模の異なるイヌブナ天然林の20年間の再生過程
- 秩父山地イヌブナ-ブナ林の齢構造と更新特性
- クスノキ衰退木の処置と樹体の生理状態
- 秩父山地スギ人工林の梢端枯れ現象
- 日本産トウヒ属樹木のグリセリン酸脱水素酵素の変異
- 数種のマツの切り枝および樹皮片におけるマツノザイセンチュウに対する組織抵抗性
- アロザイムによるアカエゾマツとエゾマツの天然雑種の同定
- ブナ類2種(Fagus crenata Blume and Fagus japonica Maxim.)の豊凶現象が樹体の成長に与える影響
- 縞枯現象における樹木枯死の推移
- (17) マツ材線虫病の進展におけるモノテルペンの役割 (平成10年度関東部会)
- 林道開設後のツガの衰退と水分生理状態(第1回大会講演要旨)
- 台湾中部山地のニイタカトウヒ天然林における主要樹種の垂直分布
- 森林における菌類の生態と病原性 : ナラタケの謎(森林と微生物の共存)
- 樹木の診断と治療(第106回日本林学会大会テーマ別セッションの概要記録)
- Acacia mangium WILLD.の根粒の構造と根粒形成に及ぼすpHの影響
- 秩父地方の山地渓畔林におけるシオジおよびサワグルミ実生の消長
- シラカンバ茎切片由来カルスにおける不定芽分化に対するα-aminooxy-β-phenylpropionic acidとα-aminooxyacetic acidの影響
- 植物病原菌類図説, 小林亨夫・勝本謙・安孫子和雄・阿部恭久・柿島真編, 685ページ, 全国農村教育協会, 東京, 1992年, 19,600円
- 病原性の異なるマツノザイセンチュウおよびニセマツノザイセンチュウを接種したクロマツ木部の解剖学的変化および通導阻害
- マツ材線虫病におけるクロマツ苗の光合成と水分生理状態
- 秩父山地におけるシオジ林の林分構造と更新過程
- モミ造林地における外生菌根の空間分布と形態的特徴
- 回折用X線源の検討 : X線強度の測定および発生管
- ポプラ葉さび病感受性に対する栄養条件の影響に関する研究(III) : アミノ酸との関係について
- ポプラの葉さび病感受性に対する栄養条件の影響に関する研究 : II.糖含有量と感受性との関係について
- (25) 養分欠乏によって生ずるポプラの葉さび病に対する感受性の変化と糖含有量との関係 (秋季関東部会講演要旨)
- ポプラの葉さび病感受性に対する栄養条件の影響に関する研究(I) : 養分欠乏によって生ずる感受性の変化
- オオシラビソの分布パターンと後氷期とヒプシサーマルの影響
- 東京大学北海道演習林が目指す「理想の森林」づくり (豊かな水を育む森林(水源林の役割)--森林総合研究所シンポジウムの概要)
- ヒノキ・ヒノキアスナロ漏脂病の発生機序
- マツ類材線虫病の発現と気象要因
- 野性チンパンジーの薬用植物と生理活性成分
- ナラタケの生物学的種
- 材線虫病による年越し枯れアカマツ材部の電気抵抗値および葉の水分生理特性の経時的変化
- マツ材線虫病の病徴の進展と水分生理特性の変化
- トドマツの漏脂症
- クロマツ苗の材線虫病における水分特性の変化と水分欠乏による変化との比較
- 材線虫病の病微進展に及ぼす環境の影響 : ギャップ効果
- スギこぶ病の解剖学的観察
- 第13回林木生理シンポジウム : 林木生理研究の方向
- セッション7. 感染に対する樹木の反応 (Section X : Forest Pathology)
- 秩父山地イヌブナ(Fagus japonica MAXIM.)天然林における堅果落下量と実生の消長
- 高速15チャネル波高分析器 : 放射線
- マツタケ栽培の動向
- スギカミキリの加害に伴うスギ生立木の材の変色とカチオンの集積
- ヒノキ漏脂病の解剖学的観察
- 病徴の進展に伴うコントルタマツの水分特性の変化
- 巨樹の葉の形質とクロロフィル量(第3回大会ポスター発表要旨)
- アメリカ・カナダのマツの枯損現象
- エゾシカ低密度生息域の天然生林における剥皮発生リスク要因:シカの生息地利用特性と樹木個体の特性に基づく分析 : シカの生息地利用特性と樹木個体の特性に基づく分析
- 秩父山地イヌブナーブナ林の齢構造と更新特性
- DEMを用いた秩父天然林における小地形の抽出とブナとイヌブナの分布特性
- Seasonal impact of deer browsing on the demography of Fagus japonica seedlings in a cool-temperate forest (特集 シカの採食圧による植生被害防除と回復)
- 林床における種々の更新補助処理によるエゾマツ実生消長の差異(会員研究発表論文)
- 東京大学北海道演習林の1981年15号台風風害跡地における前生稚樹の実態調査(会員研究発表講演)
- 北方針広混交林の林冠下における光環境と稚樹の成長と葉の形態(会員研究発表論文)
- 大面積長期生態系プロットにおける設定後15年目の測定結果と作業工程(会員研究発表論文)
- 林分施業法におけるGISデータベースの構築
- 移植によって変化させた光環境に対するイヌブナ実生の成長応答
- エゾマツの更新における諸問題
- 特集「シカの採食圧による植生被害防除と回復」:冷温帯林におけるイヌブナ実生動態への季節的なシカ摂食害の影響
- 北海道中央部の択伐天然林における林分配置,構造,収穫の長期的変化
- 北海道中央部における天然林択伐施業の持続性について
- 針広混交林に設置した長期生態系観測プロットにおける15年間の動態
- 針広混交林における樹木実生の分布を規定する諸要因