秩父地方の山地渓畔林におけるシオジおよびサワグルミ実生の消長
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概要
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東京大学秩父演習林内の山地帯渓畔林において,森林更新の初期過程を推察するために,優占樹種であるシオジとサワグルミについて,その実生の発生様式および消長について追跡調査を行った。さらに,実生の消失要因について検討するために,林床の日射量測定ならびに金網区の設置によるシカ食害回避試験を行った。シオジおよびサワグルミの実生は,林冠木の開葉完了直後に集中して発生した。シオジ実生は,発生年秋には金網区の生残率(82.1%)が開放区(51.8%)よりも高かったが,翌年秋には金網区の生残率(27.9%)が開放区(30.0%)よりも低かった。サワグルミ実生については,発生年秋は開放区の生残率(35.6%)が金網区(10.0%)よりも高かったが,発生翌春までに両区ともにほとんどが死亡した。シカによる食害はシオジの実生の減少圧となるが,上層を覆う草本の除去の効果もあるため,生残個体にとってはその後の定着率の高さに寄与するものと考えられる。一方,サワグルミの実生の定着には,さらに規模の大きい草本層の消失が必要であるものと考えられる。Survival rate of ash (Fraxinus spaethiana) and wingnut (Pterocarya rhoifolia) seedlings was studied to make clear the early stage of regeneration process at the riparian forest in the Tokyo University Forest at Chichibu, the central part of Japan. Some caged plots were also set to estimate the dear grazing damage on seedlings. Most of ash and wingnut seedlings germinated just after the flushing of the canopy trees had completed. The survival rate of ash seedlings in caged plots was higher than one in open plots in the first year, but became lower in the second year. The survival rate of wingnut seedlings was higher in open plots than in caged plots, but most of the seedlings died by the beginning of next spring. The dear grazing would make diminution of herbs as well as the number of ash seedlings decrease. So it is probable that moderate grazing by dear may contribute to the establishment of ash seedlings escaped from grazing. The removal of herb layer may be necessary for the establishment of wingnut seedlings as well as canopy gap.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学農学部附属北海道演習林,東京大学農学部附属秩父演習林,東京大学農学部林学科,University Forest in Hokkaido, Faculty of Agriculture, The University of Tokyo,University Forest at Chichibu, Faculty of Agriculture, The University of Tokyo,Depaの論文
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