シラカンバ茎切片由来カルスにおける不定芽分化に対するα-aminooxy-β-phenylpropionic acidとα-aminooxyacetic acidの影響
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概要
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シラカンバの茎切片を組織培養すると切口にカルスが生じ, やがてカルスの上に不定芽が形成される。この不定芽形成に対する, phenylalanine ammonia-lyaseの拮抗阻害剤であるα-aminooxy-β-phenylpropionic acid(AOPP)とα-amlnooxyacetic acid(AOA)の影響を調べた。はじめに, 解剖学的にカルスを調べたところ, カルス表面近くにスベリン化した周皮が形成された。また, 不定芽の所で周皮が途切れるが, その付近の細胞配列の観察から, 不定芽は周皮ができていない部位に生じることが推定された。一方, 培地に30μMのAOPPあるいは0.3μMのAOAを添加しておくと不定芽形成が促進された。また, カルス表面近くの周皮形成がAOPPとAOAによって遅れた。これらの結果から, AOPPとAOAはカルス表面近くの周皮形成を遅らせることにより, 不定芽形成を促進するものと推論した。これらの薬剤は, 木本植物の分化を促進するものとして今後さらに他の樹種でも検討する価値があると考えられる。
- 日本森林学会の論文
- 1993-07-01
著者
-
井出 雄二
東京大学農学部附属演習林千葉演習林
-
寶月 岱造
東京大学農学部
-
鈴木 和夫
東京大学農学部
-
傳 禄敏
東京大学農学部
-
傳 禄敏
東京大学農学部:(現)住友林業(株)筑波研究所
-
鈴木 和夫
東大
-
井出 雄二
東京大学農学部
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