マツ類材線虫病の発現と気象要因
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概要
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松くい虫被害の激化現象については,従来西日本を中心にマツノマダラカミキリの生態に重点が置かれ,おもに温度要因について検討が加えられてきた。しかし,現在寒冷地の東北地方にまで被害が拡大・定着していることを考えると,温度要因のみから被害を解析することには無理が予想される。そこで,今回は全国的なレベルから松くい虫被害の激化現象と気象環境との関連について検討を加えた。そして,材線虫病の発現がマツに生ずる水ストレスの程度に関与するとの考え方に基づき検討を加えた結果,気象要因として降水量0mmないし5mm以下の日の連続した日数とその期間中の最高気温が導き出された。そこで,これらの気象値が視覚的に捉えられるように努め,LCGを一つの閾値候補として各地域の松くい虫被害の推移について予測を試みた。その結果,全国的に高い正答率が得られた。今後,このような手法を用いて,マツの枯損被害を予測し,防除に役立てることが可能なものと考えられる。The pine wilt caused by Bursaphelenchus xylophilus seems to be more destructive in stands where trees are exposed to comparatively high temperatures, especially in relation to the biology of the pine sawyer, Monochamus alternatus. Recently, the pine wilt has been distributed within Tohoku district, the northern part of Japan. It seems to be difficult to discuss the severity of pine wilt only from a temperature factor. From the standpoint that water status in pine trees plays an important role in the pine-nematode relationship, correlation analysis was undertaken between annual loss of pine trees and climatic conditions, nationally. From the result, it is suggested that successive days without or below 5mm of rainfall and a maximum temperature in the period have correlation with annual loss of pine trees. Using these two factors in three dimentional analysis, we could obtain a good result on evaluation of the severity of pine wilt.
- 東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林,The Tokyo University Forests,東京大学農学部林学科,東京大学農学部演習林本部,Department of Forestry, Faculty of Agriculture, University of Tokyo,Administration Office of the University Forests, Faculty of Agriculture, University of Tokyoの論文
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