病徴の進展に伴うコントルタマツの水分特性の変化
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概要
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野外における葉の水分状態は水ポテンシャル(ψ_W)などによってとらえられるが, これらの測定では圧ポテンシャル(ψ_P)や細胞の初発原形質分離点(ψ^<tlp>_W)などの値を求めることができない。そこで, P-V (pressure-volume) 曲線を用いて病徴の進展に伴うコントルタマツ (Pinus contorta)の水分特性の変化について検討を加えた。コントルタマツは水分欠乏状態では浸透ポテンシャル(ψ_s)を調節してψ^<tlp>_Wを低下させる。そして, クロロシス発生時点までは, 細胞の体積弾性率(ε)には大きな変化は現れない。ナラタケ病に感染した苗木ではψ^<tlp>_Wの低下は小さいが, εは増大した。青変菌の産生する毒性物質の生物検定では, Ceratocystis minor の代謝産物のみがコントルタマツの水分特性に著しい影響を及ぼした。ψ^<tlp>_Wは低下し, εは約3倍に増大した。εのこのような増大は, 病徴の進展や毒性物質の吸収によって細胞壁が弾性を失い, 硬化した結果と考えられる。P-V曲線を用いたこのような水分特性の測定法は, 肉眼的には判別のつけにくい樹木の萎凋病などの病徴の進展をとらえる上で有効な方法と考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1987-01-25
著者
-
鈴木 和夫
東京大学農学部
-
鈴木 和夫
東大
-
Ayer William
Department Of Chemistry University Of Alberta
-
平塚 保之
Northern Forest Research Centre
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