トドマツの漏脂症
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概要
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全身から激しく樹脂を流出し,漏脂症状を示すトドマツについて,内樹皮内の樹脂道の観察を行った。その結果,漏脂症状を呈するトドマツにおいては,内樹皮の樹脂道が単に散在的に形成され発達するだけでなく,周辺の柔細胞が刺激されて樹脂道の連続的な形成が促進されたり(Aタイプ),内部に向かって柔細胞の発達やコルク組織の形成が活発に行われていたり(Bタイプ,Cタイプ)することが明らかにされた。また,樹脂の流出が樹幹や枝を含む樹体全体に及んでいることから,このような樹脂の流出は,虫害や風害といった物理的傷害によって生じたものとは考えにくい。こうした異常な内樹皮柔細胞の活動は,何らかの化学的・生物的な要因が関与して生じた結果と考えられ,今後の課題として興味深い。A pitch canker of Todo-fir, Abies sachalinensis, was observed in Tokyo University Forest of Hokkaido. A classic symptom is a bleeding on the trunk and branches, and seems to be associated with pitch canker of the tree. Structure and development of regin canals in inner bark tissue was observed, anatomically. Traumatic resin canals are formed in the secondary phloem of the inner bark and increased in number and in size as compared with an controlled Todo-fir. We classified traumatic resin canals into three types as follows; Type A is initiated continuously, type B is filled with proliferated epithelial cells, and type C is filled with cork tissues. From these investigations, the parenchymatous cells in the secondary phloem seem to be activated by some chemical or biotic stimuli in the case of pitch canker of Todo-fir.
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