亜高山帯モミ属林における林分の発達と実生の定着の関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
亜高山帯モミ属林における林分の発達とモミ属実生の定着の関係を明らかにするため,発達段階の異なるモミ属林において,群落構造,林床の相対照度およびモミ属実生の定着状況を調べた。林分の発達程度は,最大胸高直径および最大樹高を指標として決定した。立木密度は,もっとも発達した林分でもっとも低かった。もっとも発達した林分では,林床に定着しているモミ属実生の個体数密度が,他の林分よりも高く,林床の相対照度も,他の林分より高い傾向がみられた。さらに,もっとも発達した林分では,3〜10年生の実生の個体数密度が,他の林分よりも高かった。これらのことから,林分の発達にともなって立木密度が減少した林分では,林床に達する光量が多くなり,実生の定着が高い密度で起こるものと考えられた。モミ属実生の定着は,林床の相対照度が6%に達するとみられるようになり,それ以上の相対照度では,相対照度にともなって実生の個体数密度が増加した。林床の相対照度は,樹高1.3m以上の立木密度の減少にともなって増加し,立木密度6,000本ha^<-1>において,林床の相対照度が6%になることが確認された。以上のことから,林分の発達によって立木密度が6,000本ha^<-1>まで減少すると,林床の相対照度が6%に達し,実生が定着できるようになることが明らかにされた。
- 2010-12-25
著者
-
金子 真司
森林総合研究所
-
福田 健二
東京大学大学院新領域創成科学研究科
-
福田 健二
東大院農
-
橋本 徹
森林総研
-
岩本 宏二郎
森林総合研究所
-
鵜川 信
森林総研
-
橋本 徹
森林総合研究所東北支所
-
金子 真司
森林総合研究所関西支所
-
福田 健二
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
金子 真司
森林総合研究所立地環境領域
-
鵜川 信
森林総合研究所
-
橋本 徹
森林総合研
-
金子 真司
森林総合研
-
金子 真司
森林総合研究所立地環境研究領域
-
岩本 宏二郎
森林総合研究所多摩森林科学園
-
橋本 徹
森林総合研究所立地環境研究領域
-
金子 真司
(独)森林総合研究所 立地環境研究領域
関連論文
- 改訂新版 データで示す 日本土壌の有害金属汚染, 浅見輝男著, アグネ技術センター, 2010年4月発行, 615頁, 12,000円(税別), ISBN978-4-901496-54-4
- 大台ケ原においてニホンジカとミヤコザサが表層土壌の温度・水分状態に及ぼす影響
- ケヤキ衰退木の光合成・蒸散速度
- 梢端枯れ木および腐朽被害木の葉の光合成速度,蒸散速度,および葉の形態 : 東京大学柏キャンパス内のカツラ街路樹の事例
- 梢端枯れをおこしたカツラ植栽木の葉の水ポテンシャル及び土壌特性
- 葉緑素計を用いて判定したケヤキの活力度と葉の光合成・蒸散速度の関係
- シラカシとヒサカキにおける葉内生菌の内部分布の比較
- いずみ野駅前通桜並木における根株腐朽診断法の検討
- いずみ野駅前通桜並木におけるベッコウタケの分布
- 横浜市小黒公園サクラ集団枯損の現況調査
- 中国内蒙古自治区に生育する臭柏(Sabina vulgaris Ant.)の地下水面からの距離と種子充実率
- 23-24 森林伐採前後における土壌からのCO2、CH4、N_2Oフラックスの変化 : ヒノキ林4事例の観測結果を元に(23.地球環境,2008年度愛知大会)
- カツラ衰退木の生理特性
- 町田市・中野区の街路樹における腐朽菌子実体が発生したサクラ類樹体内の腐朽分布
- 学会報告 樹木医学会第13回大会報告
- S1-13 日本の森林流域における窒素収支(S1.酸性雨の問題を見直す2〜森林生態系の窒素循環,2007年度東京大会)
- フンカゴ法によるニホンジカの糞分解過程の定量評価
- 大台ヶ原の森林における土壌の化学性と微生物バイオマスにおよぼすミヤコザサ(Sasa nipponica)とニホンジカ(Cervus nippon centralis)の影響
- ニホンジカの採食によって林床植生の劣化した針広混交林でのリターおよび土壌の移動
- S1-14 日本における森林衰退の現状(S1. 酸性雨の問題を見直す, 2006年度秋田大会講演要旨)
- 森林降水渓流水質データベース(FASC-DB)の構築(研究トピックス)
- P23-4 森林における土壌と堆積有機物の炭素蓄積量に関する全国調査(2) : 2006年度調査の集計結果(ポスター紹介,23.地球環境,2008年度愛知大会)
- 海水の空中散布がクヌギおよびその林地土壌に与える影響
- 竜の口山森林理水試験地の渓流水質
- 40 スギ人工林の細根動態を制御する要因(関西支部講演会,2008年度各支部会)
- 23-35 森林における土壌と堆積有機物の炭素蓄積量に関する全国調査(4) : 炭素窒素分析における精度管理の検討(23.地球環境,2009年度京都大会)
- 23-34 森林における土壌と堆積有機物の炭素蓄積量に関する全国調査(3) : 2006,2007年度調査結果からみた土壌炭素蓄積量と立地条件の関係(23.地球環境,2009年度京都大会)
- 5-3 スギ落葉の窒素固定活性を利用した林地への窒素供給の制御(5.土壌生化学,2009年度京都大会)
- 直径の異なるヒノキ細根の生産速度 : 3年間の観測結果
- 1-29 人工林の表層土壌における化学性の変化(1.物質循環・動態,2008年度愛知大会)
- 中国内蒙古自治区に生育する臭柏(Sabina vulgaris Ant.)の地下水面からの距離と光合成・蒸散速度の関係
- サクラ植栽樹における根株腐朽菌子実体発生の移り変わり
- 兵庫県南部地震による臨海埋立地の緑地における地盤液状化被害 : 神戸市ポートアイランド南公園の被害調査
- カツラ梢端枯れ木のシュートの形態特性
- 23-5 森林における土壌と枯死有機物炭素蓄積量の全国調査 : 気候変動枠組み条約と京都議定書のために(23.地球環境,2007年度東京大会)
- 森林土壌の現地窒素無機化における下層土および季節別の寄与
- 近畿地方の3地点の黒色土の生成, とくに母材と過去の植生について
- 13-5 関西地域の黒色土にみられる母材鉱物と生成環境(13.土壌生成・分類)
- 9-21 火山灰の混入が森林土壌の性質に及ぼす影響(9. 土壌生成・分類および調査)
- 9-20 兵庫県氷ノ山にみられる土壌と植生の対応について(9. 土壌生成・分類および調査)
- 米国における森林CO_2問題の研究動向
- ヨーロッパにおける森林土壌インベントリと土壌情報の利活用
- 千葉県北西部の都市近郊林における樹木葉内生菌群集
- 「樹木病害デジタル図鑑」, (独)森林総合研究所森林微生物研究領域編, CD版, 発行 平成21年3月, 全国森林病虫獣害防除協会, 定価3,000円(税込,送料別)
- 明治神宮の土壌 : 都市の中の自然土壌
- 第47回公開シンポジウム「惑星地球のフロンティア-土, つち, 土壌-」の概要
- カドミウムと土とコメ, 浅見輝男著, (株)アグネ技術センター, 2005年12月26日発行, 151頁, 定価3,000円(税別), ISBN4-901496-28-X
- マツ材線虫病の被害による外生菌根菌群集の多様性の低下
- データで示す-日本土壌の有害金属汚染, 浅見輝男, (株)アグネ技術センター, 402頁, 定価7,000円(税別), ISDN4-900041-89-0
- スギ樹幹流中の有機炭素濃度の簡易測定法
- 近畿地域における渓流水中の溶存鉄・アルミニウム濃度
- 近畿地方における渓流水の広域調査--渓流水質の形成にかかわる要因について
- コンパクトMRIからみたマツ材線虫病における通水阻害と線虫分布との関係
- 「樹木医が教える緑化樹木事典」, 矢口行雄監修, 誠文堂新光社, 336pp., 2009年6月発行, ISBN-10:4416409060, ISBN-13:978-4416409060
- マツ材線虫病における通水阻害進展様式の解明に向けたコンパクトMRI多点撮像法の開発
- 難波成任監修, 「植物医科学(上)」, 養賢堂, 2008年7月, 336pp., 2,940円
- 「樹木学」, 濱谷稔夫著, 地球社, 2008年, 425pp., 4,000円, ISBN978-4-8049-5105-8
- 山地の森林と都市近郊林における樹木内生菌相の比較
- 樹木医学会第11回大会シンポジウム「これからの樹木医学」
- 樹木医学会第10回大会シンポジウム「これからの樹木医」
- マツノザイセンチュウ接種クロマツ苗のMRIによる非破壊観察(一般講演(口頭発表),第8回大会講演要旨)
- 第5回現地検討会(赤松街道)に参加して
- 森林微生物生態学, 二井一禎・肘井直樹編著, A5判, 322ページ, 朝倉書店, 2000年11月, 本体6,400円
- 「マツ林の保全とマツ枯れに関する国際シンポジウム」報告
- 花崗岩はげ山緑化地の土壌回復の展望 : 土壌の理化学性に対するはげ山履歴の影響(13. 土壌生成・分類, 2004年度大会講演要旨集)
- 2-8 分解程度の異なる有機物層からの溶存有機炭素の発生特性(2.土壌有機・無機化学)
- 1-34 緑化によって成立した森林生態系に対する環境負荷物質の影響 : 流域における物質収支(1.物質循環・動態)
- 窒素施肥がスギ人工林の細根動態に与える影響
- P1-2 花崗岩はげ山緑化地における窒素動態の特徴(ポスター紹介,1.物質循環・動態,日本土壌肥料学会 2005年度大会講演要旨集)
- 緑化工試験地における施工後 8 年間の土壌の化学性と微生物バイオマスの変化(「緑化工施工後一定期間経過後の事例とモニタリング手法」(II))
- 酸性雨等の森林生態系への影響モニタリング--関西スギ林における酸性降下物
- 森林土壌における気候帯別の窒素無機化 : 土壌理化学性,気温,土壌型による現地窒素無機化速度の推定
- 異なる季節に与えた物理的傷害に対する4樹種の反応
- 亜高山帯モミ属林における林分の発達と実生の定着の関係
- 大台ケ原山の森林においてシカによる下層採食が地上部から土壌への窒素供給と土壌窒素無機化に及ぼす影響
- 立木密度の異なるスギ人工林における葉,幹,繁殖器官への乾物分配率
- 切り捨て間伐で還元されたスギ緑葉の分解に伴う林地への窒素供給
- 大台ケ原山の森林においてシカによる下層採食が地上部から土壌への窒素供給と土壌窒素無機化に及ぼす影響
- 亜高山帯モミ属林における林分の発達と実生の定着の関係
- 3-91-4 木質燃焼灰の溶出試験における主要養分元素の溶出特性(Session3 バイオマス等,ポスター発表)
- 国指定名勝小金井桜の腐朽病害とその発生要因
- ケヤキヒトスジワタムシ (Paracolopha morrisoni) による虫えいがケヤキ街路樹の葉の光合成に与える影響
- 福島原発大事故 土壌と農作物の放射性核種汚染, 浅見輝男著, (株)アグネ技術センター, 2011年8月発行, 127頁, 2,000円(税別), ISBN978-4-901496-61-2
- 異なる季節に与えた物理的傷害に対する4樹種の反応
- 人は土をどうとらえてきたか 土壌学の歴史とペドロジスト群像, ジャン・ブレーヌ著,永塚鎭男訳, 農山漁村文化協会, 2011年3月発行, 425頁, 4,700円(税別), ISBN978-540-10148-9
- カツラ梢端枯れ木の葉の生理的・形態的特性
- 放射性セシウムによる森林や木材への影響について
- IKONOSデータを利用したマツ枯れ被害林分の抽出
- 第47回公開シンポジウム「惑星地球のフロンティア-土,つち,土壌-」の概要
- 23-30 近畿・中国地方の森林土壌の炭素蓄積量に土壌侵食が影響する可能性(23.地球環境)
- 23-29 森林における枯死木、リター、土壌の炭素蓄積量の全国調査 : 過去4年間のまとめ(23.地球環境)
- 森林生態系への放射能汚染影響研究とリスク管理の方向性(III.パネル討論,福島原発事故の森林生態系への放射能汚染影響を考える,第123回日本森林学会関連研究会)
- 森林における放射能汚染調査(話題提供1,II最新知見の紹介,福島原発事故の森林生態系への放射能汚染影響を考える,第123回日本森林学会関連研究会)
- 研究会の概要(福島原発事故の森林生態系への放射能汚染影響を考える,第123回日本森林学会関連研究会)
- 灰化温度が木質バイオマスの灰分量と成分組成に及ぼす影響
- 第28回木質ボード・木質複合材料シンポジウム木材・プラスチック複合材部会第12回定期講演会
- 研究会の概要
- 森林遺伝育種学, 井出雄二・白石進編, 文永堂出版, 2012年10月, 296ページ, 5,040円(税込), ISBN978-4-8300-4124-2C3061(ブックス,Information)
- 「微生物生態学への招待〜森をめぐるミクロな世界〜」, 二井一禎, 竹内祐子, 山崎理正編, 京都大学学術出版会, 2012年4月1日発行, ISBN:978-7-87698-597-5C3045
- 2次元イメージングクロロフィル蛍光測定器による障害部位可視化の試み