ワサビの内部黒変症の原因について
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概要
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ワサビ根茎の内部黒変症状は, 1) 維管束の黒変, 2) 髄部の斑点状黒変, および 3) 表皮および浅い皮層の黒変, の3型に分けられた。髄黒変部からは病原菌は検出されなかった。一部の表層黒変部からは Phoma sp. が分離されたが標本数が少なく結論するに至らなかった。維管束黒変型は墨入病に代表される最も普遍的な病徴であるが, この症状株からは Phoma sp., Erwinia spp., Pseudomonas spp., および一種の coryneform bacterium が分離された。これらの微生物は何れも病原性を有し, 黒色中心柱をもつ根からも検出された。分離された Phoma sp. は柄胞子および柄子殻の形態から P. wasabiae と同定された。Erwinia spp. および Pseudomonas spp. は何れも軟腐性細菌で, 軟腐症状のみられない黒変組織から腐生性細菌とともに比較的低濃度ながら高率に分離された。これらは Phoma wasabiae と動じに分離される場合もみられた。Erwinia および Pseudomonas 軟腐病菌は, それぞれ数種の異なった細菌からなり, 夏季には Erwinia の比率が著しく高まるのに対し, 冬期には逆に Pseudomonas の比率が高まって, 季節による交替現象が見られた点で注目された。これに対し Coryneform bacterium は組織内菌濃度が著しく高く, ほぼ純粋状態で分離された。外観的に識別し難い症状の根茎および根から, 微生物が全く検出されない例がしばしばみられ, 生理的原因による内輪腐部をも含めて複雑で, さらに今後の検討が必要である。
- 日本植物病理学会の論文
- 1986-01-25
著者
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