(11)ヒアシンス緑かび病菌の同定および病原性

概要

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香川県善通寺市で水栽培ヒアシンスの花が淡褐色に枯れ,枯死部と球根表皮に青緑〜灰緑色粉状のかびが生じる病害が発生し,分離菌株の形態と病徴再現の結果からPenicillium属菌による緑かび病(green mold)と名付けた.分離菌株には2種が認められ,MEA培地上で一方(a)は裏面中央淡黄褐色の菌叢と青緑色の分生子を形成し,他方(b)は白色の菌叢と灰緑色の分生子を形成した.分生子柄はaでは粗面,bでは滑面,ペニシリはaでは〜4輪生,bでは〜3輪生,両種とも徳利形フィアライド(a:7〜10×2〜3μm,b:6〜8.5×2〜3μm)より亜球形,表面平滑の単細胞分生子(a:2.5〜4(〜5)μm,b:2.5〜3(〜5)μm)を連鎖状に形成した.以上よりaをP.hirsutum Dierckx,bをP・puberulum Bain.と同定した.枯花および球根由来菌株の分生子を品種Jan Bos(赤花),Delfts Blue(紫花),City of Haarlem(淡黄花)およびCarnegie(白花)の蕾に有傷条件で接種した結果,前2品種が発病し,接種菌が再分離された.両種の球根由来菌株にも病原性があったことから,球根上の分生子が本病の伝染源であると推定された.
日本植物病理学会の論文
2003-02-25