妊娠末期における正常妊婦・妊娠中毒症患者の尿中 kallikrein 排泄量・活性について

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最近、妊娠中毒症におけるkallikren-kinin系の重要性が認識され、研究されるようになつてきた。本研究では、測定感度・特異性の高いkallikrein直接RIA法と、ヒト低分子kininogenを基質とするkinin生成能法により、妊娠末期における正常妊婦20例と高血圧型妊娠中毒症患者18例の尿中kalli-krein排泄量と活性を測定した。対照群は19〜35歳の正常非妊婦32例とした。尿検体は24時間蓄尿中の一部を用いた。その結果、尿中kallikrein排泄量は正常非妊婦(n=32、64.0±6.3μg/day、mean±SE)と正常妊婦(n=20、68.1±10.1μg/day)とで有意差を認めなかった。妊娠中毒症患者(n=18、22.5土3.3μg/day)は、正常非妊婦に比して、有意(p<0.001)に低値であつた。また、正常妊婦に比しても、有意(p<0.001)に低値であった。尿中kallikrein活性は、正常妊婦(n=20、319.5±48.1μgkinin/day)は、正常非妊婦(n=32、496.2±57.2μgkinin/day)に比して、わずか(p<0.05)に低値であつた。妊娠中毒症患者(n=18、82.6±13.6μgkinin/day)は、正常非妊婦に比して、有意(p<0.0001)に低値であつた。また、正常妊婦に比しても、有意(p<0.001)に低値であつた。ただし、尿中kallikrein排泄量・活性とも、妊娠中毒症軽症例・重症例の間に、有意差を認めなかつた。妊娠中毒症症例において、腎機能検査値は異常傾向を示したが、各腎機能検査値と尿中kallikrein排泄量・活性との間に、有意の相関は認められなかつた。以上より、高血圧型妊娠中毒症発症の際には、通常の腎機能検査以外に、降圧系としての尿中kallikrein排泄量・活性を測定する必要があることが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-02-01

妊娠末期における正常妊婦・妊娠中毒症患者の尿中 kallikrein 排泄量・活性について

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