ヒト胎児・新生児血中Prolactinの分泌および生理的意義について

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ヒト胎児prolactin(PRL)レベルは胎生中期より末期に向かつて著しく増加するが, その分泌機序および生理的作用については未だ不明な点が多い.著者らは, 胎児視床下部・下垂体系のPRL分泌調節機序, および胎児におけるPRLの生理的作用の一端を明らかにすべく, 正期産正常新生児と無脳児の膀帯静脈血中PRL, growth homone(GH), estradiol-17β(E_2-17β)をRIAで測定し, 以下の結果を得た.(1)正期産正常新生児の〓帯静脈血中PRL, GH, E_2-17β値は, 在胎週数による差は認められなかつた.(2)無脳児の膀帯静脈血中PRL値(253±86mg/ml(mean±S.D.), N=10)は, 正常新生児の〓帯静脈血中PRL値(324±119ng/ml, N=108)と比し, 有意な差は認められたかつたが, 〓帯静脈血中GH値, E_2-17β値はともに低値であつた.しかし, 妊娠35および39週の無脳児2例の膀帯静脈血中E_2-17β値は, 正常新生児のE_2-17β値(12.4±7.9mg/ml, N=105)の下限値であつた.(3)正常新生児膀帯静脈血中PRL値とE_2-17β値の間には正の相関(pく0.01)が認められた.(4)正常新生児〓帯静脈血中PRL値と出生体重の間には負の相関(p<0.01)が認められた.また, AGA児のみについて同様な相関を求めたところp<0.01にて負の相関が認められた.〓帯静脈血中GH値と中生体重との間にも, 同様な相関(p<0.01)が認め戸れた。視床下部の存在したい無脳児において, 膀帯静脈血中PRL値が正常新生児と差が認められなかつたことより, 胎児PRL分泌には視床下部・下垂体系の分泌調節(PRF, PIFなど)以外にも調節機構が存在し, estrogenがその一つであることが示唆された.また, 正常新生児出生体重と〓帯静脈血中PRL値との問に有意な負の相関を認めた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1981-10-01

ヒト胎児・新生児血中Prolactinの分泌および生理的意義について

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