ヒト胎児成長ホルモン分泌と性差の検討
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概要
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胎児下垂体成長ホルモン(GH)に対する視床下部因子の影響と,成長ホルモンの性差を明らかにすべく妊娠21週から妊娠41週の間に出生した流産児。早期産児・正期産児88例と妊娠33週から妊娠40週の間に出生した無脳児の臍帯静脈血,および一部正期産児の母体血中のGHとimmunoreactive somatotropin release inhibiting factor(SRIF:somatostatin)をradioimmunoassay(RIA)にて測定し以下の成績を得た.1)臍勝帯静脈血中GH値は,妊娠21週から妊娠30週で69.2±20.2ng/ml(N=6,mean±S.D.),妊娠31週から妊娠36週で31.5±24.3ng/ml(N=11),妊娠37週から妊娠41週で17.6±8.9ng/ml(N=71)であり妊娠週数が進むとともに低下した.無脳児の臍帯静脈血中GH値は2.3±1.4ng/ml(N=11)で早期産児・正期産児に比し有意に低値であった.正期産分娩直後の母体血中GH値は,4.7±1.1ng/ml(N=12)であった.2)正期産におけるsomatostatin値は,母体血中で24.8±8.6pg/ml(N=9)で臍帯静脈血中では26.5±3.9pg/ml(N=9)であった.3)正期産児において出生体重3,250g未満の児の群の臍帯静脈血中GH値は19.2±9.2ng/ml(N=33),3,250g以上の児の群では15.1±8.1ng/ml(N=38)で有意な差(p<0.04)が認められた.一方,somatostatin値はそれぞれ24.2±2.5pg/ml(N=4),28.3±4.1pg/ml(N=5)で3,250g以上の児の群がやや高値であった.4)正期産における男児臍帯静脈血中GH値は20.6±8.7ng/ml(N=35),女児では14.6±8.0ng/ml(N=36)で男児が有意に(p<0.004)高値であった.以上の結果より,胎児下垂体GH分泌には視床下部の存在が必要であり,妊娠末期に向いsomatostatinにより分泌抑制されてくる可能性が示唆された.また,胎児下垂体GH分泌には性差が存在する可能性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-04-01
著者
-
高橋 徹
東北大学医学部加齢医学研究所病理
-
深谷 孝夫
東北大学医学部産婦人科教室
-
古橋 信晃
東北大学医学部産婦人科学教室
-
鈴木 雅洲
東北大学医学部産婦人科学教室
-
高橋 徹
日本大学医学部産婦人科学教室
-
鈴木 雅洲
東北大学医学部産科学婦人科学教室
-
河野 秀昭
東北大学医学部産科学婦人科学教室
-
立花 義史
東北大学医学部産婦人科学婦人科学教室
-
新川 尹
東北大学医学部産婦人科学婦人科学教室
-
高橋 徹
東大工
-
鈴木 雅洲
東北大学
-
高橋 徹
東北大学医学部加齢医学研究所病態臓器構築研究分野
-
新川 尹
仙台赤十字病院
-
深谷 孝夫
東北大学医学部産婦人科
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