妊娠中期の重症妊娠中毒症発症の予知 : 胎児発育および母体平均血圧との関係
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概要
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妊娠28週以前に発症する重症妊娠中毒症では, 胎児が未熟のうえに発育遅延が重なってその妊娠管理に苦慮することか多い. 今回われわれは, このようなhigh-risk妊婦を妊娠早期より発見し, 適切な管理を行うために, 母体血圧上昇時期と超音波計則による胎児発育の推移の関係について検討した. 妊娠20〜27週に発症した重症妊娠中毒症の7症例を対象とした. 中毒症発症時の妊娠週数, 発症時の母体平均血圧(MAP), 発症時のBPDを基準として0とし, それぞれの推移を基準からの差として表現しその平均を求めた. BPDの正常発育曲線において, 妊娠20〜31週ではほぼ直線的に増加(1週当り約3mm)するので, 胎児発育は直線の傾きの大きさと変化で評価した. また臨床的特徴を比べるため, 妊娠28〜31週に発症した重症妊娠中毒症7例を対照群とした. 母体の平均血圧は, 妊娠中毒症の発症以前の段階でも, 正常血圧の範囲内ではあるが3〜4週間前から徐々に血圧の上昇が始まっていることが判明した. この平均血圧の推移は妊娠28週末満発症の群と28〜31週発症の群に共通していた. しかしBPDの推移に関しては, とくに妊娠28週未満に発症する重症妊娠中毒症で, 胎児の発育曲線の鈍化が中毒症の発症に先行していた. すなわち妊娠中毒症の母体における症状顕性化に先立って, 胎児の発育遅延がすでに起こっていることが示唆された. その時相のずれは2〜4週間程度であった. よって妊娠中毒症のリスクが予想される場合は, 母体血圧の推移およびBPDの発育曲線の鈍化を指標とすれば, 早い時期に中毒症の発症予知が可能であることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-03-01
著者
-
矢嶋 聰
東北大学医学部産婦人科
-
矢嶋 聰
東北大学産婦人科
-
古橋 信晃
東北大学医学部産婦人科学教室
-
岡村 州博
東北大学医学部産婦人科
-
渡辺 孝紀
東北大学医学部附属病院産婦人科
-
室月 淳
東北大学医学部附属病院 輸血
-
遠藤 英敬
東北大学医学部産婦人科
-
岩本 充
東北大学医学部産科学婦人科学教室
-
岩本 充
Ntt東日本東北病院
-
古橋 信晃
仙台鉄道病院
-
古橋 信晃
東北大学
-
岡村 州博
東北大学医学部
-
辻永 真志
東北大学医学部産科婦人科学教室
-
遠藤 英敬
釜石市民病院産婦人科
-
辻永 眞志
東北大
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