子宮頚部上皮内癌のbiological behaviorの相違について
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概要
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加齢による子宮頚部上皮内癌(CIS)のbiological behaviorへの影響を検索するために, 性成熟期CIS例32例と子宮頚癌Ia期(Ia期)例10例および閉経期CIS例20例とIa期例7例とを対象とし手術摘出標本に臨床病理学的検討を加え, 以下の結果を得た. 1. 性成熟期と閉経期のCIS例について環状方向伸展度と縦軸方向伸展度との間に順相関のある傾向を認めた. 2. 性成熟期と閉経期のCIS例について環状方向伸展度とgland involvementの深さとの間に順相関のある傾向を認めた. 3. 性成熟期CIS例とIa期例との環状方向伸展度を検討すると, CIS例では1/4以内のものが59%と最も多く, Ia期例では1/4より大で1/2以内のものが70%と最も多かった. 伸展度が1/4より大で1/2以内のものの割合は, CIS例と比べIa期例で有意に高かった. 4. 閉経期CIS例とIa期例との環状方向伸展度を検討すると, CIS例では1/4以内のものが60%と最も多く, Ia期例では1/2より大のものが100%と最も多かった. 伸展度が1/2より大のものの割合は, CIS 例と比べIa期例で有意に高かった. 5. 性成熟期Ia期例と閉経期Ia期例との環状方向伸展度を比較すると, 伸展度が1/2より大のものの割合は, 後者で有意に高かった. 以上より, (1) 性成熟期にも閉経期にもCISは上皮内伸展を行い, その様態は環状方向に伸展すると縦軸方向にも伸展しかつgland involvementの深さも増大するというものであること, (2) 性成熟期CISと比べ, 閉経期CISでは, 病変の上皮内伸展がより拡大してから浸潤を開姶するものの頻度が高く, この点は, 性成熟期CISと閉経期CISとの間にbiological behaviorの相違があることを示すこと, などが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1994-05-01
著者
-
矢嶋 聰
東北大学医学部産婦人科
-
和田 裕一
国立仙台病院産婦人科
-
矢嶋 聡
東北大
-
米本 行範
米沢市立病院産婦人科
-
和田 裕一
Ntt東北病院産婦人科
-
東岩井 久
仙台市立病院産婦人科
-
鈴木 久子
米沢市立病院産婦人科
-
鈴木 久子
東北大
-
鈴木 久子
東北大学医学部産科学婦人科学教室
-
矢嶋 聡
Ntt東日本東北病院産婦人科
-
和田 裕一
東北大 大学院情報科学研究科
-
和田 裕一
東北大学大学院情報科学研究科
-
和田 裕一
獨協医大
-
和田 裕一
東北大
-
和田 裕一
国立仙台病院
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