人工流産後,胞状奇胎除去術後の血中プロラクチン動態

概要

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妊娠5〜10週で人工流産を施行した婦人20例および妊娠9〜16週で胞状奇胎除去術を施行した患者10例を対象とし,子宮内容除去術後の血清中hCG,プロラクチン値の推移を比較検討し,以下の結果を得た.1)血中hCGレベルの低下は,正期産産褥,人工流産後,奇胎娩出後の順で速かった.2)血中hCGの半減期は,産褥38.9時間,人工流産後44.4時間,奇胎娩出後42.7時間であった.3)人工流産後の血中プロラクチン値は,中絶前値が平均27.4ng/mlであったのに対し,中絶後4〜7日で平均64.5ng/mlと増加し,中絶後13〜15日で平均31.9ng/mlと減少する変動を示した.4)奇胎娩出後の血中プロラクチン値の推移は,一定の変動傾向を示さなかったが,人工流産後に比し高値を示すものが多くまた高プロラクチン血症状態が遷延する傾向を認めた.5)人工流産後,奇胎除去術後とも血中hCG値と血中プロラクチン値との間に相関は認められなかった.6)血中プロラクチン値とMTXなど薬物投与との関係も認められなかった.7)BBT上奇胎除去術後の初回排卵は血中hCGレベルの正常化と一致しない場合がしばしばあり,むしろ血中プロラクチン値の正常化に伴い排卵が認められる傾向があった.以上の結果から,妊娠初期流産後,胞状奇胎娩出後にも産褥期同様に高プロラクチン血症状態が認められること,胞状奇胎娩出後の排卵抑制にはhCGよりもむしろプロラクチンが強く影響していることなどが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1984-06-01

人工流産後,胞状奇胎除去術後の血中プロラクチン動態

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